消費者がECサイトで求める商品を見つけられず離れてしまう「検索放棄」によって、小売業者は顧客を失う恐れがある。Google Cloudの新ツール「Retail Search」は、その解決策となるのか。
Googleは2022年3月、小売業者が自社のEC(電子商取引)サイトにおける商品検索機能を強化するためのツール「Google Cloud Retail Search」(Retail Search)の一般提供を開始した。このツールはEC利用者の「検索放棄」の抑止を目的としている。EC利用者が入力した検索キーワードの意図を理解し、適切な検索結果を表示する「セマンティック検索」の機能を搭載する。
検索放棄は、ECサイトを訪れた消費者が求める商品を見つけられず離れてしまうことを意味する。Googleと調査会社Harris Insights and Analyticsの調査によると、小売業者は検索放棄によって年間約3000億ドルの損失を被っている。
小売業者はRetail Searchを利用することでEC利用者の意図をより深く理解し、その結果、消費者の購買体験を向上させることができるとGoogleは説明する。
Retail Searchのセマンティック検索は、EC利用者が探している商品の属性とECサイトのコンテンツを迅速にマッチングさせるとともに、検索キーワードに関連する検索クエリを含めて最適な検索結果をEC利用者に提供する。Retail Searchはその他にも、EC利用者の行動やランキングの仕組みを活用し、EC利用者への検索結果を最適化する機能を備える。
Amazon.comも小売業者向けの検索ツールを提供するなど、Retail Searchに類似するツールは存在する。Retail Searchの特色は、Googleが提供する他の小売ツールと組み合わせ可能な点だ。例えば、EC利用者が画像を用いて製品を検索できるツール「Vision API Product Search」と組み合わせて利用できる。「この組み合わせは小売業者のビジネス改善に効果的だ」と、調査会社Arion Researchのアナリスト、マイケル・ファウスケッテ氏は見込む。
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