VPNなんて要らない――企業がWANを捨てる4つの事情WANを捨てるべきか、生かすべきか【前編】

企業の間でWANの必要性を見直す動きがある。VPNなど拠点間WANを廃止すればコストも手間も削減できる可能性がある。どのような点を検討しているのか。

2022年06月03日 05時00分 公開
[John BurkeTechTarget]

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 テレワークの広がりを受けて、企業は以前から利用してきたインフラやITツールの見直しを図るようになった。その中でも重要な判断になるのは、「拠点間を接続するWANは必要なのかどうか」という問題だ。

 これは「『MPLS』(マルチプロトコルラベルスイッチング)ベースのVPN(仮想プライベートネットワーク)を『SD-WAN』(ソフトウェア定義WAN)に移行する」というだけの話ではない。VPNを含めた拠点間のWANを完全に廃止すべきかどうか、という点を企業は検討している。

なぜVPN、WANは要らないのか? 企業に迫る事情

 企業が拠点間のWAN廃止を検討する背景には、次の4つの動きがある。

  1. テレワークを導入する企業は、拠点の必要性を見直す。都市部の場合、複数の拠点を維持し続けるよりも、自宅でのテレワーカーを支援する方がコストパフォーマンスに優れる。
  2. 企業の業務アプリケーションはクラウドサービスに移行している。クラウドサービス接続時のネットワーク遅延を減らすには、SD-WANの制御によって各拠点からインターネットに直接接続する方がよい。
  3. 各拠点にいるエンドユーザーは、セキュリティを一元的に管理する「CASB」(クラウドアクセスセキュリティブローカー)を介することで、安全にクラウドサービスに接続できる。
  4. 各拠点のエンドユーザーが自社データセンターに安全に接続する方法は幾つかある。ポリシーに基づいてユーザー認証を実施する「ゼロトラストネットワークアクセス」(ZTNA)の他、ファイアウォールなど従来のネットワーク機器を介して安全な接続ができる。

 これらの4つの動きを前提にすると、小規模な拠点のWANをMPLSベースのVPNからインターネット回線に置き換えることは可能だ。ZTNAや、ソフトウェアによってネットワーク境界を制御する「SDP」(ソフトウェア定義境界)を利用して、セキュリティと拡張性の向上の両立を目指す企業もある。

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