Amazon.comから流出した内部文書の内容が物議を醸している。同社は業務監視ツールを導入し、従業員同士のやりとりで特定のワードをブロックしようとしているという内容だ。同社の意図とは。
コミュニケーションツールで従業員が発した不適切な言葉にフラグを立て、雇用主が社内のハラスメントを見つけられるようにする――。従業員の業務を監視するツールの中には、こうした機能を持つものがある。
ジャーナリズム組織First Look Instituteが運営するWebメディア「The Intercept」が2022年4月に報じた内容によると、Amazon.com(以下、Amazon)が社内のメッセージングアプリケーションに「特定発言の送信をブロックするツール」を導入しようとしていた。Amazonが送信ブロックを検討している言葉には、労働条件に対する従業員の不満を示す可能性のある言葉が含まれていた。これは、同社から流出した内部文書で明らかになった。
この報道は「従業員の監視」に関する大きな課題を浮き彫りにした。企業はこうしたツールを導入すべきなのか、導入するとしたらどのように使用すべきなのかという課題だ。
Amazonは内部文書の詳細を否定していない。米TechTargetの取材に対し、Amazonで広報を担当するバーバラ・アグライト氏は「メッセージを検閲する施策はまだ開始していない」と説明。開始したとしても、チェックの対象となる可能性があるのは「攻撃的な言葉』や「嫌がらせの言葉」であり、その狙いは「チームを守ることにある」とアグライト氏は話す。
人事(HR)業務を技術で改善する「HR Tech」(人事とITの融合)ツールを利用すれば、コミュニケーションの内容から従業員の感情を分析し、「燃え尽き症候群」の可能性を示す兆候にフラグを立てたり、退職の恐れがある従業員を特定したりできる。従業員のスケジュールや電子メールをチェックすることで日々の仕事ぶりを把握し、その従業員の生産性を評価する従業員監視ツールもある。
法律事務所Clark Hillで労働問題や雇用問題を担当する弁護士のポール・スタークマン氏によれば、雇用主が従業員に対し、自社の業務監視に対するポリシーを伝えている限り、従業員はプライバシーに関する法的権利を持たないという。だが広報、ブランド、評判といった観点から見れば「Amazonの計画にはリスクが伴う」とスタークマン氏は言う。「世論においてはそれなりの反発を受けることを想定しておくべきだ」と同氏は指摘する。
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