調査会社Gartnerの人事調査責任者は、パンデミックに由来する高い離職率は今後も続くと考えている。その理由と企業にできる対策を聞いた。
離職率の高さは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)がもたらす恒久的遺産になり得る――調査会社Gartnerの人事調査責任者であるブライアン・クロップ氏は、こう考える。
高い離職率が続くと、人事部門や人事関連ツールベンダーを取り巻く状況はどのように変わるのか。Gartnerが予測するパンデミック後の職場についてクロップ氏に話を聞いた。
―― パンデミックは職場にどのような影響を与えましたか。高い離職率が恒久化すると考える理由と併せて教えてください。
ブライアン・クロップ氏(以下、クロップ氏) パンデミックは幾つかの「恒久的影響」を職場にもたらした。プラスの影響もあれば、マイナスの影響もある。パンデミックを機に私たちは、職場で働いているのは単なる労働者ではなく人間であり、従業員を人間として扱わなければならないと改めて実感した。このことは福利厚生に対する考え方に影響を及ぼす。
一方でテレワークが拡大し、従業員同士の人間関係は以前よりずっと希薄になった。お互いをより人間らしく扱おうと考えていていても、同僚と接する時間は少ない。その結果、以前より退職しやすい職場環境になっているのが実情だ。従業員は、居住地域のコミュニティー、家族、趣味といった私生活の重要性をはっきりと自覚するようになっている。デスクワーカーの離職率上昇が見られる場合、テレワークやハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態)がもたらした希薄な人間関係が影響している可能性がある。
―― 職場への帰属意識が希薄であることを理由に従業員が転職する場合、雇用主はどのように対処すればよいでしょうか。
クロップ氏 コールセンターのように、もともと離職率が高くテレワークが可能な職場では、自動化技術の導入が進む可能性がある。具体的には、チャットbotを導入してセルフサービス機能をさらに高めるといった動きが見込まれる。もう一つの施策として考えられるのは、事業の中核要素や重要な職務への投資だ。ビジネスの中核要素と重要な職務を割り出し、それに携わる人材の給与、従業員エクスペリエンス(従業員体験価値)、企業文化などに関する課題を解決するために投資する。その際に、中核分野以外の重要度の低い職務も特定する。重要度の低い職務は外部委託するか、臨時雇用の従業員に任せる流れになる可能性がある。
後編は、パンデミックが職場の役割や人事部門の業務にどのように影響するかをより具体的に聞く。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
CXとEXの双方の高度化を実現すべく変革に挑み続けるNTTグループ。「自らのDX」を進める第一弾としてグループ社員17万人が利用する決裁システムを刷新し、大きな成果を挙げている。同社の取り組みを詳しく紹介する。
名刺の自社印刷を行う企業は多いが、デザインやデータ管理など工数は意外に多い上、仕上がりに不満が残るケースが少なくない。こうした問題の解決に有効なのが、発注作業を効率化し、高品質な名刺を低価格で作成するサービスだ。
名刺の発注業務は意外と手間のかかる作業だ。社員が個別で発注していたり、拠点ごとに発注していたりする場合は請求書の管理も負担が大きくなる。そこで既存のフローは変えずに、効率的に名刺発注の管理ができるサービスを紹介する。
令和7年度の与党税制改正大綱では最重要課題として、成長対策が強調された。特に、所得税や法人税などに関する6つのトピックスも見逃せない。これらを基に、企業が経理業務DXに取り組む上で押さえておきたいポイントについて解説する。
インボイス制度開始後の業務変化についてアンケート調査を実施した。結果から、請求書業務の電子化が進んだ一方、多くの現場で業務負荷の低減を実感できていない現状が見えてきた。現場が直面する具体的な課題と、その解決策を紹介する。
ERPからあぶれたスキマ作業をどうする? RPAやBIでは解決できない理由 (2025/4/4)
マンガで解説:紙と「Excel」の販売管理から卒業したい 実現しやすい方法は? (2025/4/2)
制度変更で取引先が数千件増える? 3カ月でシステム構築できた事例 (2025/3/25)
人事管理システムの選び方 失敗しないポイントは? (2024/9/18)
人材開発って何? 人材育成との違いは? 効果的な方法を知る (2024/9/18)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...