ガラスメーカーが資産追跡に「GPS」ではなく「LPWA」を採用した理由無線に求められる低消費電力の特性

「LPWA」を使うことで、低消費電力で広域を接続するIoTが可能になる。あるガラスメーカーは、LPWAで配送業務を効率化している。その方法とは。

2022年07月08日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 低消費電力で広域の無線通信を可能にするネットワーク「LPWA」(Low Power Wide Area)を使い、IoT(モノのインターネット)を業務に生かす取り組みが進んでいる。ニュージーランドのガラスメーカーArchitectural Glass Products(AGP)は、LPWAの無線規格「Sigfox」を配送業務に導入した。

 「注文から4日以内に製品を配送する」というのがAGPが提供するサービスの強みだ。Sigfoxネットワークはその中心的なインフラになっている。同社は資産をリアルタイムに追跡することで、損失を最小限に抑えている。どのような仕組みなのか。

「GPS」ではなく「LPWA」が必要だった理由とは?

 AGPは、ガラス製品を運搬する1750台以上の配送トロリーにIoTデバイスを搭載した。このIoTデバイスは、通信会社Thinxtraが提供するSigfoxネットワークを介し、配送トロリーの場所を追跡する。

 GPS(全地球測位システム)を使って地図上の配送トロリーを数えるという方法も可能だったが、AGPはその時間のかかる方法には頼らなかった。同社が採用したのは、Sigfoxネットワークで配送トロリーの情報をダッシュボードに集約し、

  • 配送トロリーがどの顧客のところにいるのか
  • どのくらいの時間稼働しているのか

などを把握する方法だ。これにより同社は俊敏な立ち回りができ、高水準なサービスレベルの維持が可能だという。「配送トロリーを速やかにAGPの拠点に戻して次の注文に着手できるようにすることで、顧客への迅速な製品供給ができる」と、AGPの広報担当者ジーン・サンフォード氏は語る。

 AGPにIoTデバイスを提供するのは、ニュージーランドのITベンダーPollin8だ。AGPの全配送トロリーに設置したIoTデバイスは、GPS信号を受信できない場所を含めて、配送トロリーの位置情報を捕捉する。

 Pollin8のCEOニック・ピカリング氏によると、追跡方法としてはGPSを利用するのが主流だった。だが動力を持たないデバイスをネットワークに接続するニーズが広がり、バッテリーの持続時間をより長くするLPWAの必要性が高まってきた。

 AGPはPollin8とThinxtraの支援を受けて導入したIoTについて、費用対効果の高さを評価する。「AGPの継続的な事業拡大計画に適している」とサンフォード氏は語る。導入したIoTデバイスは、通信インフラの構築や保守の必要がほとんどないという。

 ThinxtraのCEOニコラス・ランブロー氏によると、AGPは高い効率性によって支えられた運用を確立し、ニュージーランドのガラス供給において大きな成長を遂げた。「AGPはIoTを早い段階から導入したことで、資産(配送トロリー)の状態を詳細に把握できるようになった」とランブロー氏は振り返る。配送トロリーは、急速に増加する顧客にガラス製品を安全に配送し、不必要な損失を避け、厳しいSLA(サービスレベル契約)を維持する責任を担っている。

 ニュージーランドでIoTを活用する組織はAGPの他にもある。低所得者に廉価で住宅を提供する非営利組織CORT Community Housingは、IoTを活用して住宅内の空気品質を改善している。

 CORT Community Housingは、ITベンダーTetherの協力を得てセンサーと分析ソフトウェアを導入し、気温や湿度、二酸化炭素濃度、光、騒音などの環境条件を監視可能にした。センサーはThinxtraのSigfoxネットワークに接続している。

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