札幌市の「AWS」採用事例や、「Microsoft Azure」のデータ分析サービスをOracleのクラウドデータベースと組み合わせて利用しやすくする新サービスなど、クラウドの主要なニュースを紹介する。
オンプレミスインフラからクラウドサービスへとシステムを移行させたいものの、いきなり全てのシステムを移すのは難しい――。そう考える企業にとって、クラウドサービスへの段階的な移行が現実的な選択肢となる。オンプレミスインフラとクラウドサービスの併用を進める札幌市の取り組みや、異なるクラウドサービスの組み合わせを容易にするサービスなど、クラウドに関する主要なニュースを6本紹介する。
宇宙空間での光通信事業を手掛けるワープスペースは、地球観測衛星事業者向けのデータ中継サービス「WarpHub InterSat」を開発している。WarpHub InterSatは地球観測衛星と地上のシステムの通信を小型光中継衛星で中継し、地球観測データの転送を高速化する。同社はWarpHub InterSatで利用する中継衛星の管理や軌道調整、宇宙と地上間のデータ転送などに利用するシステムのインフラとして、コンテナオーケストレーションサービスの「Amazon Elastic Kubernetes Service」(Amazon EKS)やリレーショナルデータベースサービスの「Amazon Aurora」など、Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を採用した。AWSの採用に当たっては、通信衛星がデータを低遅延かつ低コストで地上に送信できるようになる点を評価した。(発表:ワープスペース<2022年7月21日>)
札幌市はシステムのインフラとして、Nutanixの「Nutanix Cloud Clusters on AWS」(NC2 on AWS)を採用した。NC2 on AWSは、AWSでHCI(ハイパーコンバージドインフラ)を運用可能にするクラウドサービスだ。札幌市は従来、インフラとしてNutanixのオンプレミスHCIを利用していたが、導入や運用コストが高額になりがちなことが課題となっていた。インフラの一部にクラウドサービスを利用することでコストを抑える。システムの段階的なクラウドサービス移行を進めるために、オンプレミスHCIも並行して運用する。クラウドサービスのHCIとオンプレミスHCIを同一の手法で管理、監視できる点を評価し、NC2 on AWSを採用した。(発表:ニュータニックス・ジャパン、アイレット<2022年7月28日>)
金融機関や小売業向けの通貨処理機を製造販売するグローリーは、海外市場向けに「UBIQULAR」を提供している。UBIQULARはユーザー企業の店舗にある通貨処理機を遠隔管理し、適切な現金回収タイミングや必要な準備金額を予測・分析するためのクラウドサービスだ。同社は顧客の需要に合わせてUBIQULARのインフラリソースを拡張しやすくするために、インフラとしてIBMのクラウドサービス群「IBM Cloud」を採用。IBM Cloudの金融業界での導入実績とセキュリティ機能を評価した。(発表:日本IBM<2022年7月5日>)
「地域エッジクラウド」は「Azure Stack Hub」を使って、NTT東日本のデータセンターに、個社専有のクラウドであるプライベートクラウドを構築するサービス。Azure Stack Hubは、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」の各サービスを、任意のデータセンターで利用できるようにする製品だ。プライベートクラウドはユーザー企業のオンプレミスシステムと閉域ネットワークで接続できる。ハードウェアの調達や保守といったインフラの管理や故障時の対処はNTT東日本が担う。月額基本料金は2万680円(以下、税込み)で、仮想マシンが月額2万284円から、ネットワーク接続が月額2万7940円から。さらにディスクとストレージ、バックアップの月額利用料金が加算される。利用開始時に初期費用がかかる。(発表:NTT東日本<2022年7月25日>)
「Oracle Database Service for Microsoft Azure」は、Oracleのクラウドサービス群「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)のデータベースサービスを、Azureのデータ分析サービスと組み合わせて利用しやすくするサービスだ。OCIとAzureのデータセンター間を専用ネットワークで接続することで、両者間のデータ転送の遅延を抑える。OCIのデータベースの管理用に、Azureの管理コンソール「Azure Portal」と同様の、専用の管理コンソールを用意する。Oracle Database Service for Microsoft Azureに利用料金はかからない。(発表:Oracle、Microsoft<2022年7月20日>)
「Advanced API Security」は、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)の設定ミスや悪意のあるbotトラフィック(botからのAPIリクエスト)を特定し、APIセキュリティを強化するためのサービス。APIの設定ミス検知機能は、監視対象のAPIに適切な認証または認可ポリシーが設定されているかどうか、承認されたエンドユーザーのみがAPIにアクセスできるようになっているかどうかを検出する。bot検出機能は事前に設定したAPIの呼び出し回数やエラー数などを計測し、同一IPアドレスからの集中的なアクセスを検出して、悪意のあるbotを特定する。原稿執筆時点ではプレビュー版であり、プレビュー版の利用料金は無料。(発表:Google<2022年7月1日>)
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