AWS、GCP、Azure、Facebookで「クラウド障害」相次ぐ どう備えるべきか?クラウド障害に備えるには【前編】

クラウドサービスは企業にとってもはや不可欠のインフラだ。クラウドサービスの障害は大変な事態を招く可能性がある。どうすればいいのか。チップスを集めた。

2022年08月18日 05時00分 公開
[Dave ShacklefordTechTarget]

 業種や規模を問わず、企業がクラウドサービスを利用する動きが広がった。クラウドサービス利用にはさまざまな利点がある一方、クラウドサービスで障害が発生した際はビジネスへの悪影響が出るリスクもある。企業はビジネス継続を図るために、クラウドサービスの障害にどう備えればいいのか。大手クラウドベンダー4社のクラウドサービスで発生した障害と、その影響を見てみよう。

AWS、GCP、Azure、Facebook「クラウド障害」の中身

会員登録(無料)が必要です

Amazon Web Services(AWS)

 2021年の11月と12月、AWSの同名クラウドサービス群で合計3件の大きな障害が発生した。これらにより、ビジネスチャットツール「Slack」を提供するSlack Technologiesや、ゲーム開発のEpic Gamesといった企業のオンラインサービスが長時間、利用できなくなった。3件の中には、5時間以上続いた障害もあった。AWSは原因について、運用管理が自動化されている同社システムで「予期しない問題」が発生したと説明している。

Google

 2021年2月、Googleの人工知能(AI)技術搭載のバーチャルアシスタント「Google Assistant」が使えなくなる障害が生じた。Googleによれば、原因は一部のユーザーを対象にした実験によるものだった。2021年11月には、ネットワーク構成のエラーのため、クラウドサービス「Google Cloud Platform」(GCP)で約2時間にわたる障害が発生。Snapの写真共有アプリケーション「Snapchat」や、Spotify Technologyの音楽ストリーミングサービス「Spotify」、The Home Depotの住宅関連サービスなどが利用不可になった。

Microsoft

 2021年10月、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」で6時間にわたる障害が起き、仮想マシン(VM)サービスに問題が発生した。Microsoftによると、VMのクエリ(データの問い合わせ)でエラーが起きたことが原因だった。ここ数年、オフィススイート「Microsoft 365」でも数回の障害が発生している。例えば、下記だ。

  • 2021年4月:メールサーバ「Exchange Server」のクラウドサービス版である「Exchange Online」で障害が発生し、メールの配信に影響が出た。
  • 2020年9月:Exchange Onlineの他、ドキュメント管理ツール「Microsoft SharePoint」やコラボレーションツール「Microsoft Teams」など、Microsoft 365の機能がほぼ完全に停止した。

Meta Platforms

 2021年10月、Meta Platforms(旧Facebook)の「Facebook」「Instagram」「Facebook Messenger」「WhatsApp」といった各種サービスが約6時間にわたって停止した。Meta Platformsはルーティング(経路制御)の構成を変えたことが原因だと説明している。業界専門家はMeta Platformsの「Border Gateway Protocol」(BGP:経路情報を交換するためのルーティングプロトコル)構成の大規模な変更が一連の障害を引き起こしたとみる。


 中編は、クラウドサービスの障害が企業に及ぼす影響を整理する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...