クラウドサービスは企業にとってもはや不可欠のインフラだ。クラウドサービスの障害は大変な事態を招く可能性がある。どうすればいいのか。チップスを集めた。
業種や規模を問わず、企業がクラウドサービスを利用する動きが広がった。クラウドサービス利用にはさまざまな利点がある一方、クラウドサービスで障害が発生した際はビジネスへの悪影響が出るリスクもある。企業はビジネス継続を図るために、クラウドサービスの障害にどう備えればいいのか。大手クラウドベンダー4社のクラウドサービスで発生した障害と、その影響を見てみよう。
2021年の11月と12月、AWSの同名クラウドサービス群で合計3件の大きな障害が発生した。これらにより、ビジネスチャットツール「Slack」を提供するSlack Technologiesや、ゲーム開発のEpic Gamesといった企業のオンラインサービスが長時間、利用できなくなった。3件の中には、5時間以上続いた障害もあった。AWSは原因について、運用管理が自動化されている同社システムで「予期しない問題」が発生したと説明している。
2021年2月、Googleの人工知能(AI)技術搭載のバーチャルアシスタント「Google Assistant」が使えなくなる障害が生じた。Googleによれば、原因は一部のユーザーを対象にした実験によるものだった。2021年11月には、ネットワーク構成のエラーのため、クラウドサービス「Google Cloud Platform」(GCP)で約2時間にわたる障害が発生。Snapの写真共有アプリケーション「Snapchat」や、Spotify Technologyの音楽ストリーミングサービス「Spotify」、The Home Depotの住宅関連サービスなどが利用不可になった。
2021年10月、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」で6時間にわたる障害が起き、仮想マシン(VM)サービスに問題が発生した。Microsoftによると、VMのクエリ(データの問い合わせ)でエラーが起きたことが原因だった。ここ数年、オフィススイート「Microsoft 365」でも数回の障害が発生している。例えば、下記だ。
2021年10月、Meta Platforms(旧Facebook)の「Facebook」「Instagram」「Facebook Messenger」「WhatsApp」といった各種サービスが約6時間にわたって停止した。Meta Platformsはルーティング(経路制御)の構成を変えたことが原因だと説明している。業界専門家はMeta Platformsの「Border Gateway Protocol」(BGP:経路情報を交換するためのルーティングプロトコル)構成の大規模な変更が一連の障害を引き起こしたとみる。
中編は、クラウドサービスの障害が企業に及ぼす影響を整理する。
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