従業員が通話時間無制限プランに加入していても、企業は従業員の私物電話での通話料金を負担すべきなのか――。こうしたテレワークの経費をめぐる訴訟が米国で起こっている。企業への影響は。
「テレワークの経費を誰が負担するか」という問題は訴訟にも発展し得る。管理・経費精算ツールベンダーMotusの最高法務責任者ダニエル・ラッキー氏は、米国カリフォルニア州法における先行判例として、2014年の食品宅配業者Schwan's Home Serviceに対する訴訟の判例を挙げる。この訴訟では、個人の携帯電話(スマートフォンなど)を業務に使用する従業員が同社に対して、通話料金を経費として払い戻すように訴えた。
ラッキー氏によると、Schwan's Home Serviceは携帯電話の通話時間無制限プランがあると主張した。だが裁判所は「これは企業のコストの問題ではなく、企業にとっての利益の問題だ」と述べたという。「従業員が無制限プランに加入していたとしても、企業は合理的な割合を払い戻すべきだ」と裁判所は見なしたと、同氏は説明する。
テレワークをするかどうかを従業員に任せることは「必ずしも企業の払い戻し義務を免除することにはならない」とラッキー氏は指摘する。
2009年の家電量販店RadioShackに対する訴訟の判例では、裁判所は「従業員が払い戻し可能な費用を負担したことを企業が知っているかどうか、知るべき理由があるかどうかに注目した」とラッキー氏は説明する。もし従業員の費用負担を認識していれば「『企業は従業員が払い戻しを受けられるように、相当な注意を払わなければならない』と裁判所は結論付けた」(同氏)。
第4回はITコンサルティングサービス企業Avanadeの「テレワーク手当」制度を紹介する。
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