COBOLをやめても消えない“亡霊”「JOBOL」とは何なのかそれでも「COBOL」は生き残る【第1回】

「COBOL」プログラムのモダナイゼーション方法として、ソースコードをより新しいプログラミング言語に書き換える方法がある。一見単純なこの方法には“ある問題”があると専門家は指摘する。それは何か。

2022年10月01日 08時30分 公開
[Stephanie GlenTechTarget]

 プログラミング言語「COBOL」で書かれたプログラムをモダナイゼーション(最新化)する上で、ソースコードを1行ずつ、より新しいプログラミング言語に書き換えることは、一見すると簡単な方法だ。ただし、この方法では「『COBOLの支配』から完全に逃れることはできない」と専門家は述べる。

COBOLの亡霊「JOBOL」の正体は“これ”だ

 COBOLはメインフレーム用プログラミング言語の定番であり続けている。一方でCOBOLのプログラミングスキルを備えた人材は不足している。企業がメインフレームで稼働させているCOBOLプログラムをクラウドサービスへと移行させるには、概して「Java」などの比較的新しいプログラミング言語に精通したソフトウェア開発者の力が必要になる。クラウドサービスへの移行を進める際、企業は彼らの力を借りて、COBOLで書かれたソースコードを別のプログラミング言語で書き直すことが一般的だ。

 「ソフトウェア開発者は不足している。COBOLからJavaへの書き換えは困難なのが現状だ」。調査会社Intellyxの創設者兼プレジデントであるジェイソン・ブルームバーグ氏はそう述べる。

 COBOLからJavaへと単純に書き直しただけのプログラムには、COBOLの特徴が残る。そのため、こうした方法では「企業はCOBOLとの関係を完全に絶つことは不可能だ」とブルームバーグ氏は注意を促す。「COBOLからJavaへの書き換えは、COBOLの構文でJavaプログラムのソースコードを記述した『JOBOL』を生む」と同氏は指摘する。

 ブルームバーグ氏はJOBOLを「技術的には正しいJavaプログラムのソースコードだ」と評する。一方で「元のアーキテクチャをそのまま残すために、JOBOLでは開発者はJavaをCOBOLであるかのように扱わなければならない、ゆがんだ状況が生まれる」とも話す。「優れたスキルを持つ開発者であっても、行ごとにJavaに書き換えたCOBOLプログラムのソースコードには手を焼く」(同氏)

TechTarget発 エンジニア虎の巻

米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news108.jpg

TOPPANとデータX、中堅企業向けデジタルマーケティング支援で協業
TOPPANとデータXは、中堅企業を対象としたデジタルマーケティング支援領域のデータ基盤構...

news084.jpg

Instagramがまとめアカウント排除へフィードアルゴリズムを刷新
Instagramはフィードアルゴリズムを刷新し、コンテンツレコメンドの方針を変更することを...

news148.png

「三菱UFJ銀行」と「メルカリ」のフィッシング詐欺が増加――BBソフトサービス調査
BBソフトサービスが、詐欺サイト専用セキュリティソフトで検知・収集したデータを基に、...