伝統の「vSphere」から謎の「Aria」まで VMwareが買収前に見せる“意地”VMwareが語る買収と注力製品【後編】

Broadcomによる買収を前に、VMwareは「vSphere」をはじめとする主力製品の機能強化を継続するだけではなく、「VMware Aria」といったブランドの立ち上げも進めている。VMwareの主な動きを見ていこう。

2022年10月17日 08時15分 公開
[Aaron TanTechTarget]

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 VMwareは2022年8月から9月にかけて、ユーザー企業向けイベント「VMware Explore 2022」を開催した。このイベントで同社は、主力製品の機能強化に総力を挙げていることを表明した。これにより「買収完了までの準備期間に、特定の製品の開発が優先されるのではないか」というユーザー企業の不安を緩和する狙いがある。

「vSphere」など主力製品を強化 “謎”の「VMware Aria」とは?

 VMwareはVMware Explore 2022で、コンテナオーケストレーター「Kubernetes」関連製品群「VMware Tanzu」の新製品として、コンテナアプリケーション向け開発実行環境「VMware Tanzu Application Platform」を発表。「vSphere 8」をDPU(データ処理装置)で実行可能にすることも発表した。DPUはセキュリティを強化したり、データ処理タスクをCPUからオフロード(肩代わり)したりするのに役立つ。

 Tanzuや「vRealize」「CloudHealth」の3つに分かれていたインフラ管理ソフトウェア製品群は、ブランド名を「VMware Aria」に変え、管理機能を拡充する。ハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスの組み合わせ)やマルチクラウド(複数のクラウドサービスの組み合わせ)を横断したインフラ構築、コスト管理、クラウドアプリケーション管理を支援する機能を新たに提供する。

マルチクラウドに力を入れるVMware

 「VMwareの戦略は、サーバ仮想化ソフトウェア『vSphere』やストレージ仮想化ソフトウェア『vSAN』、ネットワーク仮想化ソフトウェア『VMware NSX』という中核製品を、クラウドインフラの管理に関連する機能で強化することだ」。調査会社Gartnerでバイスプレジデントアナリストを務めるシド・ナグ氏はこう話す。

 VMwareは、さまざまなインフラで同社製品を利用可能にすることで、既存ユーザー企業をつなぎ留めようとしているとナグ氏はみる。VMware Ariaは、VMware製品で構築したかどうかにかかわらず、さまざまな仮想インフラを管理できる。コンテナオーケストレーター「Kubernetes」の管理ソフトウェア「Tanzu Mission Control」によって「VMwareはマルチクラウド管理市場に本格参入することも考えている」と同氏は見解を述べる。

 Broadcomは、2023年の会計年度末(2023年10月)までにVMwareの買収を完了させる考えだ。ラグラム氏は「当社のビジネスと製品ポートフォリオの深さや広さを理解してもらえるように、Broadcomの担当部署と対話している」と話す。

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