世界各国の人々が生中継で見ていた、英国エリザベス2世の葬儀。ひつぎの移送を含めた生中継を可能にしたのは、どのような通信技術なのか。葬儀放送の「舞台裏」を見てみよう。
2022年9月8日(英国時間、以下同じ)、英国のエリザベス2世が滞在先のスコットランドのバルモラル城で死去し、英国は2022年9月19日に葬儀を執行した。葬儀の様子を世界中に生中継するために活用したのは、「5G」(第5世代移動通信システム)や衛星ブロードバンドといった通信技術だ。その仕組みを見てみよう。
エリザベス2世の葬儀を巡って英国は、君主がスコットランドで死去した場合の手順を定めた計画「ユニコーン作戦」を適用した。この計画に従い、2022年9月13日にエディンバラ空港からロンドン近郊にあるノースホルト空軍基地まで、エリザベス2世のひつぎを移送した。その際、国際放送に使用するカメラを、滑走路を横断するケーブルを使うことなく接続する方法の検討が課題になった。
現場で中継作業を担当したのは、スコットランドのブロードキャスト専門会社Quipu TV(QTV)だ。同社は5Gに準拠した無線によるプライベートネットワークを構築し、ケーブルなしでのカメラ接続と高品質映像の放送を実現した。この5Gのプライベートネットワークは、スコットランドのストラスクライド大学(University of Strathclyde)と同校発の新興企業Neutral Wirelessが共同で設計し、2022年前半に実証実験を実施したものだ。
QTVは、英国内の放送局各社と密に連携し、5Gのプライベートネットワークを使ってひつぎ移送の生中継を世界中のテレビ局に配信した。QTVの最高技術責任者(CTO)を務めるガレス・ゴードン氏は、「今回は現場に無線通信システムといった設備もなく、ケーブルなしで生中継を可能にするには革新的な発想が必要だった」と述べる。
中編は、ひつぎ移送の放送のために構築されたネットワークの詳細を説明する。
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