AWSがre:Invent 2022で発表した「サーバレス」関連の新サービスとはNEWS

AWSが年に一度のカンファレンスイベント「AWS re:Invent 2022」を米国で開催した。同イベントで提供された最新情報の中から、東京リージョンで利用可能となったサーバレス関連の新サービス2点についてまとめた。

2023年01月12日 10時00分 公開
[成澤 亜希子TechTargetジャパン]

 Amazon Web Services(以下、AWS)は2022年11月28日~12月2日に、年次イベント「AWS re:Invent 2022」を米国で開催した。同イベントでは、AWSの新サービスや機能更新など、複数の最新情報が発表された。その中から東京リージョンで利用可能となった、サーバレス関連の新機能を紹介する。

AWS Lambdaの課題を改善する「Lamba SnapStart」とは

会員登録(無料)が必要です

 サーバレスコンピューティングサービス「AWS Lambda」は、メールの受信や画像の加工処理といった、手動や自動のデータ処理やリクエストをトリガーにして次の動作を自動で処理する。同サービスのサーバの運用をAWSが担うためユーザーはサーバを用意する必要はなく、AWS Lambdaで自分が開発したプログラムの動作確認や開発だけに集中できる。リクエストの回数や実行した時間に応じて料金がかかる従量課金制が採用されている。

 AWS Lambdaではユーザーが動作させたい機能を意味する「関数」ごとにプログラムを管理し、機能の処理も関数単位で実行する。AWS LambdaがAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて関数を実行するリクエストを受け取ると、AWS Lambdaは大きく以下4つのステップを経る。

  1. ストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)に保存されているデータを管理するバケットから、実行するプログラムをダウンロードする
  2. メモリやランタイム(関数の作成で使用するプログラミング言語とそのバージョン)、各種設定を踏まえた実行環境を作成する
  3. ハンドラ(AWS Lambdaが関数に関わるプログラムを実行する際に呼び出す関数名)外の初期化コードを実行する
  4. ハンドラの関数を実行する

 AWS Lambdaは実行環境をキャッシュとして一定期間保持するため、同じ関数に対するリクエストが追加で来た場合に3の実行環境を再利用することで関数を迅速に実行する(ウォームスタート)。一方、1から起動すると関数の起動時間がかかりレイテンシ(実行時間全体の遅延)が発生する(コールドスタート)。今回AWSはre:Invent 2022で、AWS Lambdaのコールドスタートにかかる時間を削減する新機能として「Lambda SnapStart」を発表した。Lambda SnapStartは、関数インスタンス(関数を動作させるためのコードやコードを実行するためのランタイムなどの条件を1つにまとめたもの)を起動し、初期化が終わった状態をスナップショットとして保存することで1と2のステップを省略し、起動を高速化できる。

AWS Application Composerのプレビュー版が提供開始

 ローコード開発ツールである「AWS Application Composer」は、AWSが提供するさまざまなサービスがアイコンになっている。画面上でアイコンをドラッグアンドドロップすることでサービス同士を接続したりグループ化したりでき、サーバレスアプリケーションを視覚的に構築できる。従来、AWSのサーバレスアプリケーションを開発するにはまずはAWSのさまざまなサービスについて勉強する必要があった。AWS Application Composerは、サーバレスアプリケーションの開発を簡単にすることで、開発の未経験者を支援することを目的としている。

 コードによるインフラの構成管理(Infrastructure as Code、IaC)で使用しているコードをAWS Application Composerにインポートした場合、AWS Application Composerがコードの内容に適したアイコンやアイコン同士のつながりを表示する。

 AWS Application Composerはパブリックプレビュー版として東京リージョンで利用可能。AWSの管理コンソール「AWS Management Console」(AWSマネジメントコンソール)から使用できる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社ラクーンフィナンシャル

法人用クレジットカードだけでは利用しづらい? B2B取引に最適な決済手段は

サブスクリプション型のサービスを利用する際、支払い方法として一般的なのがクレジットカードだが、中小企業では法人カードの普及率が20%程度と低く、使いづらいという声もある。法人カードに代わる決済手段には、何を選ぶべきだろうか。

事例 ServiceNow Japan合同会社

シスラボの事例に学ぶ、ノーコード開発で業務システムを抜本的に改善する方法

業務システムの老朽化が進み、属人化やブラックボックス化が大きな問題となっている企業も少なくない。システム開発企業のシスラボは、同様の問題をノーコード開発ツールの導入と生成AIの活用で解決した。同社の取り組みを詳しく解説する。

製品資料 レッドハット株式会社

アプリケーションのモダナイズを効率的に行うための方法とは?

現代のビジネス市場で存在感を高めるためには、アプリケーションのモダナイズが重要だ。しかし、新たなアプリケーションを迅速に展開するのは、簡単なことではない。そこで、容易にアプリケーション変革を実現する方法を紹介する。

製品資料 レッドハット株式会社

AI/ML対応アプリ開発のための基盤を、迅速かつ簡単に構築するための方法とは?

AIおよびMLは、今や革新的なアプリケーションを支える重要なテクノロジーの1つであり、ビジネスメリットをもたらす鍵となりつつある。その一方で、独自のAIプラットフォームの構築と運用に、多くの組織が苦慮しているという現実がある。

技術文書・技術解説 アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社

コンテナのサイズ削減に使用するベースイメージ、用途に合うものをどう選ぶ?

コンテナ利用に際しては最初にイメージを作成するが、そのファイルサイズが小さいほど短時間で起動できるため、サイズ削減を行う機会が多い。その実践に役立つヒントとして、主要なベースイメージごとの特徴・ユースケースを紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。