「Windows 11」のシステム要件を満たしているPCでも、「Windows Update」を使ったアップグレードができないことがある。その原因とは何なのか。対処法とは。
MicrosoftのクライアントOS「Windows 10」から「Windows 11」への最も一般的なアップグレード方法は、システム更新機能「Windows Update」を使用することだ。ただしWindows Updateは、PCがWindows 11のシステム要件に準拠していない場合、Windows 11のインストールを許可しない。
Windows Updateは「このPCは現在、Windows 11を実行するための最小システム要件を満たしていません」と警告することがある。この警告メッセージは、常に正しいとは限らない。どういうことなのか。
2021年にMicrosoftがWindows 11を発表した当初から、発売日が2018年ごろよりも前のPCは、Windows 11のシステム要件を満たさない可能性が高いと考えられていた。だが比較的新しいPCでも、Windows Updateが警告メッセージを表示することがある。Intelが2020年に発売したプロセッサ「Intel Core i9」第10世代を搭載するなど、Windows 11のシステム要件を容易に満たしているスペックのPCでも、こうした警告メッセージを確認した。
Windows Updateの警告メッセージには、「PC正常性チェック」(PC Health Check)を実行するためのリンクを含む。PC正常性チェックは、Windows 11のハードウェアの適格性を評価するアプリケーションだ。
手元のPCがWindows 11を実行できるかどうかをWindows Updateが正しく判断できない場合、PC正常性チェックが役立つ。IT担当者がPC正常性チェックを実行してPCの問題をチェックし、PCに問題がなければ、Windows UpdateはWindows 11へのアップグレードを許可する。
PC正常性チェックは、PCが標準規格「TPM 2.0」(TPM=Trusted Platform Module)準拠のセキュリティデバイスを搭載していない場合、警告メッセージを表示する。だがPCがTPM 2.0準拠デバイスを搭載している場合でも、PC正常性チェックがこの警告メッセージを表示することがある。TPM 2.0準拠デバイスの搭載は、Windows 11のシステム要件になっている。
IT担当者は、WindowsまたはPC正常性チェックが認識する前に、標準規格「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)準拠のシステムファームウェアを介して、TPM 2.0を有効にする必要がある。UEFI準拠のファームウェアは、従来のBIOSに代わる、PCの基本制御プログラムだ。
次回は、Windows 11へのアップグレード時に発生する代表的なエラーメッセージを解説する。
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