脱クラウドの理由「クラウドはセキュリティが駄目」は本当か「脱クラウド」これだけの理由【第2回】

企業がクラウドサービスを導入する際は、クラウドサービスのデメリットを把握しておく必要がある。自社の要件に合ったインフラを構築するためのポイントを説明する。

2023年01月31日 08時15分 公開
[Fleur DoidgeTechTarget]

 クラウドサービスに移行させたアプリケーションをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」(オンプレミス回帰)は、クラウドサービスの導入時に想定していなかった問題が原因となることがある。こうした問題が生じるのを防ぐには、クラウドサービスが抱えるリスクを把握しておくことが重要だ。

「クラウドはセキュリティが駄目」はそもそも“誤解”の可能性

 「セキュリティの確保はクラウドベンダーがしてくれるものだと思い込んでいるユーザー企業が存在するが、それは誤解だ」。セキュリティベンダーのトレンドマイクロでテクニカルディレクターを務めるバーラト・ミストリー氏は、こう指摘する。

 インフラのクラウドサービス「IaaS」(Infrastructure as a Service)の場合、ハードウェア部分のセキュリティ対策はベンダーが担う。しかしソフトウェアへのパッチ適用やデータ保護の責任などは、ユーザー企業が担うことになる。

 クラウドベンダーがファイアウォールサービスといったセキュリティサービスを提供している場合は、それらを利用できる。ただし、こうしたセキュリティサービスは、オンプレミスのセキュリティ製品と同等のものではないことがある。「クラウドベンダーのセキュリティサービスが初歩的な機能しか搭載していない場合、ユーザー企業の要件を満たさない可能性がある」(ミストリー氏)

 オンプレミスシステムやホスティングサービスの場合は、ユーザー企業がリスク評価と侵入テスト(ペネトレーションテスト)を徹底的に実施したり、直接データセンターに行ってセキュリティ対策の方法を探ったりできる。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどの大手クラウドベンダーのデータセンターとなると、ユーザー企業は簡単に中に入ることはできない。


 第3回は、脱クラウドの原因となり得る、クラウドサービスのコストに関する問題を説明する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...