ITインフラ投資“まさかの一人負け”はあの業界“何でもクラウド”時代の終わり【前編】

企業のインフラ投資額は全体的に成長しているものの、中には全く伸びていない業界がある。かつてはインフラ投資の“王者”だった、その業界とは。

2023年02月22日 05時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 データセンターをはじめとするインフラへの投資額は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が終息しつつある2022年に、回復傾向に転じた。ただし業種によって、インフラ投資の活発さには大きな違いがある。

かつて「インフラ投資の王者」だった“あの業界”が一人負け

 IT市場調査会社のSynergy Research Groupは、大手ユーザー企業(エンタープライズ)と大手クラウドベンダー(ハイパースケール)、通信事業者のインフラ投資動向を分析した。同社によると、この3業界を合わせた2022年のインフラ投資総額は7000億ドルに上る。

 インフラ投資額の2016年から2022年におけるCAGR(年平均成長率)は、大手ユーザー企業では6%、大手クラウドベンダーでは20%。通信事業者では0%だ。2022年の12カ月の間に、大手ユーザー企業と大手クラウドベンダーではインフラ投資額が9%増加したのに対し、通信事業者では4%減少した。大手ユーザー企業のインフラ投資額は、2019年と2020年は軟調だったものの、2021年に回復に転じている。

 2022年のインフラ投資総額における大手ユーザー企業の割合は、2016年と同様に29%であり、2016年から2022年まで大きな変動はない。大手クラウドベンダーの割合も29%であるものの、2016年の13%と比較して16ポイント増加。通信事業者の割合は、2016年の58%から42%へと低下した。

 インフラ投資総額に占める大手クラウドベンダーの割合は「着実に増え続けている」とSynergy Research Groupは指摘する。大手クラウドベンダーのインフラ投資額の増大は、クラウドサービスの需要が成長し続けていることを反映している。通信事業者は依然として、低迷から抜け出せていない。「インフラ投資額の推移が、それを反映している」と、Synergy Research Groupは見解を示す。

 大手ユーザー企業のインフラ投資額は、COVID-19のパンデミックの時から回復したというのが、Synergy Research Groupの見方だ。サプライチェーンの停滞に起因するデータセンター設備のコスト高騰も、投資額の増大に関係していると同社はみる。


 クラウドサービスへの投資意欲が衰えない中でも、オンプレミスインフラへの投資が広がるとの見方がある。次回は、その理由を検証する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITインフラ投資“まさかの一人負け”はあの業界:“何でもクラウド”時代の終わり【前編】 - TechTargetジャパン クラウド 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。