酒類メーカーAB InBevは、事業の変革を進めるために必要なネットワークを構築した。従業員のコミュニケーションを支えるインフラは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基礎となる。
酒類メーカーAnheuser-Busch InBev(以下、AB InBev)はフランスの通信事業者Orangeのビジネスサービス部門Orange Businessと契約し、ベルギーにある本社と世界70カ所の拠点を結ぶネットワークを構築した。より広い帯域幅(通信路容量)で低遅延かつ安定した通信が可能なネットワークを生かし、従業員のコミュニケーションを強化した方法とは。
Orange Businessはネットワークの構築だけでなく、従来の音声通話システムをIP電話用プロトコル「SIP」(Session Initiation Protocol)ベースのIP電話システムに置き換えた。それと同時にコラボレーションツールの「Microsoft Teams」を導入し、従業員はMicrosoft Teamsを介してコミュニケーション可能になった。
AB InBevの欧州ソリューション担当バイスプレジデントであるピエター・ブルイランド氏は、「当社が業務のデジタル化の拡大とイノベーションを目指す中で、将来のビジョン実現を支援してくれる事業者と協力することは不可欠だった」と述べる。
「AB InBevは、ビール会社の在り方を再考しながら業界をけん引してきた」とブルイランド氏は振り返る。その同社が進めているのが、デジタル技術を活用して効率的にビールを醸造する「スマート醸造所」の開発だ。スマート醸造所の実現には業務のデジタル化と自動化が欠かせない。
ブルイランド氏は「スマート醸造所を実現するためには今、基礎を固める必要がある」と語る。Orange Businessとの契約により、スマート醸造所を実現するための、インフラおよびそのサポートという基礎を固めたわけだ。
Orange Businessの欧州担当シニアバイスプレジデントであるネモ・ベルビスト氏は、「適切なインフラを整えることは、DXを支援するための重要な第一歩だ」と述べる。
AB InBevはOrange Businessと協力して、AB InBevのシステムに導入するセキュリティ対策やSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)などの開発も進めている。「未来の醸造所の完成は期待が膨らむマイルストーンであり、Orange Businessはこの旅をサポートする体制を整えている」(ベルビスト氏)
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