大手消費財メーカーのUnileverは、全システムのクラウド移行を完了した。「クラウドサービスしか使わない」という方針を実行に移し、同社は何を実現したいのか。
大手消費財メーカーUnilever(ユニリーバ)は、クラウドサービスしか利用しない「クラウドオンリー」の方針を掲げ、2023年4月に全システムのクラウド移行を完了した。クラウドサービスを活用した事業変革の取り組みをこれから本格化する。クラウドサービスは同社に何をもたらし、同社は何を実現したいのか。
Unileverは、クラウド移行プロジェクトをITコンサルティング企業AccentureとMicrosoftと共同で実施した。Unileverは大半のシステムとデータを、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」で運用することにした。これにより、デジタル技術を使ってビジネスモデルや企業文化を変革する「デジタルトランスフォーメーション」(DX)を加速する狙いだ。
クラウドサービスを活用する取り組みの一例として、Unileverは3次元(3D)仮想空間の「メタバース」を使用する計画を挙げる。工場の「デジタルツイン」(現実の物体や物理現象をデータでモデル化すること)から取得するリアルタイムデータを用いて現状の業務から洞察を引き出すと同時に、自動化を進めることが狙いだ。その目的は、顧客と従業員の体験価値を向上させることにあるという。
Unileverでエンタープライズおよび技術の最高責任者を務めるスティーブ・マクリスタル氏は、同社の原動力はデータにあると強調する。「当社はより速いペースで、より多くの情報に基づいた意思決定を下すため、高度な分析手法を取り入れている」(マクリスタル氏)。全システムのクラウド移行により、Unileverは絶えず変化する消費者ニーズに素早く応えることが可能になる他、成長分野に経営資源を効率良く配分し、サービスや製品の迅速な市場投入が可能になる。
Accentureでシニアマネージングディレクターとグローバルアカウントエグゼクティブを兼務するニコール・バン・デット氏は、クラウド移行はUnileverに2つのメリットをもたらすと説明する。事業のレジリエンス(回復力)の向上と、製品面のイノベーションの加速だ。「その実現には業務のデジタル化と、デジタル化を土台にしたDXが不可欠。クラウドサービスはDXの中核を担う」(デット氏)
他にもUnileverは、「ジェネレーティブAI」(生成AI)を利用する機能など、一連のクラウドサービスを利用することで、より迅速なイノベーションや成長を促進する。“デジタルリーダー”として業界を先導することが、同社の目指す姿だ。
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