ユニリーバが完全“脱オンプレミス”で「クラウドオンリー」に その本気度は?「クラウドだけ」を使うユニリーバの戦略【前編】

大手消費財メーカーUnileverはクラウドサービスへの大掛かりなシステム移行を完了した。同社が採用したクラウドサービスは何か。クラウドサービスだけを使う狙いとは。

2023年07月03日 07時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 大手消費財メーカーUnilever(ユニリーバ)は、全システムのクラウド移行を2023年4月に完了し、クラウドサービスしか利用しない「クラウドオンリー」の企業に生まれ変わった。同社が採用したクラウドサービスは何か。クラウドサービスだけを使って何を目指すのか。

“あのクラウド”で完全脱オンプレミス その狙いは?

 Unileverは、今回のクラウド移行をITコンサルティング企業AccentureとMicrosoftと共同で実施した。移行作業は消費財業界の中でも特に大規模で複雑なものになり、開始から完了までの期間は18カ月に及んだ。

 オフプレミス(社外)にあるシステムやデータの大半を、UnileverはMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)で運用することにした。Unileverは従来、Googleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を利用してきたことで知られていた。GoogleとMicrosoftが共同でUnileverのサプライチェーンのサステナビリティ(持続可能性)と製品供給の強化方法を議論していたこともある。

 Microsoftでエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフコマーシャルオフィサーを務めるジャドソン・アルソフ氏は、「AzureはUnileverのシステムの基盤を担う」と説明する。

 Unileverはサプライヤーから顧客まで、エンドツーエンドでデジタル化を進め、迅速なイノベーションを実現する仕組みを事業全体に浸透させる狙いだ。例えば同社は、以下のような取り組みを例に挙げる。

  • 3次元(3D)仮想空間である「メタバース」を工場で活用
  • OpenAI製のAI(人工知能)モデルをAzureで使用できるサービス「Azure OpenAI Services」を活用した事業の効率化

 デジタル化の土台になるこうした取り組みはイノベーションや成長を加速するのに役立つだけでなく、事業の「レジリエンス」(回復力)を強化することにも役立つとUnileverはみている。

 Unileverは400種以上のブランドで消費財を提供しており、世界中の人がそれを使用している。同社は今回のクラウド移行プロジェクトを経て、よりアジャイル(俊敏)な組織に生まれ変わり、移り変わる消費者ニーズに応え、研究と開発のプロセスをスピードアップする狙いだ。


 後編は、クラウド移行がUnileverにもたらすメリットを解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/05/11 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。