フェリー客の安全確保に4Gではなく「5G」が不可欠だった“必然の理由”海上に広がる5G【第1回】

オーストラリアの大手フェリー事業者が5Gの導入に踏み切った。乗客と船員の安全を守るために、強靭(きょうじん)なネットワークが必要だと判断したためだ。なぜ5Gが必須だったのか。

2023年07月05日 07時15分 公開
[TechTarget]

 オーストラリアのフェリー事業者Transdev Sydney Ferries(TDSF)は、船舶や埠頭(ふとう)、オフィスに「5G」(第5世代移動通信システム)を導入することを決断した。同社は38カ所の港を結ぶ10本の海路とフェリーを運営している。これらのインフラの安全を守るために、5Gが必要だと判断した。なぜ5Gが必須だったのか。

5Gが必須だった“乗船客を守るシステム”とは

 TDSFが運営する船舶では乗客の約40%は観光客で、海上に慣れていない。不慣れな乗客と船員双方の健康と安全を守るために、船内の様子を監視する必要がある。

 ニューサウスウェールズ州交通局(TfNSW:Transport for New South Wales)との契約により、TDSFは、可用性を確保した「CCTV」(閉回路テレビシステム)と、緊急時に外部に救助を求める「緊急ヘルプポイント」(Emergency Help Point)システムの設置が義務付けられている。ニューサウスウェールズ州警察またはそれに準ずる権限を持つ組織が、CCTVの映像をリアルタイムに監視できる仕組みを整える必要もある。

 TDSFは所有する船舶群に合計で約800台のCCTVカメラが設置し、船客が利用できるほぼ全ての場所と、フェリーの運航に不可欠な場所を映像に収めている。ただし、トイレのような特定の場所にはCCTVカメラが設置されておらず、改良作業が進められている比較的古いフェリーにもCCTVカメラが設置されていない場所がある。

 こうしたシステムの要件を、「4G」(第4世代移動通信システム)で実現することは困難だったため、同社は5Gを導入することにした。4Gでは、安全確保に必要な映像を伝送するための帯域幅(通信路容量)の確保ができなかった。


 第2回は、TDSFが既存のネットワークと比較してなぜ5Gを選んだのかを解説する。

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