Javaで速さ重視なら「int」「Integer」のどっち? “int一択”じゃない理由Javaの「int」「Integer」を比較【第4回】

「Java」で整数を扱う際は、単純に値を格納するだけの「int」と、オブジェクトとして扱える「Integer」のいずれかを使うことになる。どちらを使えばよいのか。処理負荷の視点で比較しよう。

2023年08月06日 10時30分 公開
[Cameron McKenzieTechTarget]

 プログラミング言語・実行環境の「Java」は、整数を扱うための仕組みを2つ備える。「int」と「Integer」の2つだ。intは「型」(数値や文字列といったデータの種類)、Integerは「クラス」(データと処理をまとめたオブジェクトの設計図)であり、こうした種類の違いが処理負荷に影響を及ぼす。

基本的には「int」が速いが……

 intをはじめとする「プリミティブ型」(Javaが標準で用意する8つの型)の変数を宣言する場合と比べて、Integerなどのクラスからオブジェクトを生成する際には、一般的にはオーバーヘッド(負荷)がより多く発生する。そのためintの変数を使用した方が、Integerのオブジェクトを使用するよりも概して処理負荷を軽減しやすく、Javaプログラムがより高速に動作しやすくなる。

 ただしintの変数を使えば、常に処理負荷が抑えられるわけではない。注意すべきなのが、intなどのプリミティブ型の変数に備わる「オートボクシング」という機能の存在だ。

 オートボクシングは、プリミティブ型の変数を、対応する「ラッパークラス」(オブジェクトとしてプリミティブ型を利用可能にするクラス)のオブジェクトに自動的に変換する。オートボクシングの実行時には、一定の処理負荷が発生することになる。オートボクシングが頻発すると、それに伴う処理負荷が増加し、処理速度の低下につながりかねない。

結局どちらを選べばよいのか

 intの変数は比較的使いやすく、オートボクシングを必要としないJavaプログラムあれば、処理負荷を抑えやすい。整数の値を参照するだけなら、intの変数を使うのが適切だと言える。生成時に自動実行するメソッド「コンストラクタ」など、オブジェクトに特有の機能を使う必要がある場合は、Integerのオブジェクトを用いる方が適切だ。

関連キーワード

Java | プログラミング


TechTarget発 エンジニア虎の巻

米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 サイボウズ株式会社

「ERP×ノーコードツール」のアプローチを推進するためのポイントとは?

DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。

事例 サイボウズ株式会社

ローコード/ノーコード開発ツールで実現する、変化に強い組織の作り方

DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。

事例 サイボウズ株式会社

ノーコードツールでDX人材を育成、京セラや日本航空などの事例に学ぶ効果の実態

DX人材の重要性が高まる中、ノーコードツールの活用によって業務改革と人材育成を両立しようとする動きが活発化している。年間約780時間の工数削減を実現した京セラをはじめとする5社の事例を基に、その実態を探る。

事例 アステリア株式会社

ものづくり現場で「足かせ」のアナログ業務、9社の事例に学ぶ業務改善の秘訣

急速に進化するデジタル技術は、製造業などのものづくりの現場にもさまざまな恩恵をもたらしている。しかし、設備点検業務や棚卸業務などの立ち仕事や移動が多い現場では、いまだにアナログ業務が残存し、効率化の妨げとなっているという。

事例 アステリア株式会社

工場・倉庫の「隙間業務」をデジタル化、11社の事例に学ぶ現場DX

あらゆる業界でDXの重要性が増しているが、工場や倉庫の中にはデジタル化が後回しにされている隙間業務が多数ある。その理由を明らかにした上で、それらの業務をモバイルアプリでデジタル化し、現場DXを推進する9社の事例を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。