テレワークとオフィスワークのどちらを推進すべきなのか。双方を組み合わせる場合、どのような割合がベストなのか。これらの問いへの答えは、企業と従業員で大きく異なる可能性がある。両者の間にあるギャップとは。
オフィスワークは従業員同士のコミュニケーション活性化や企業文化の醸成など、企業にとって幾つものメリットがある。こうしたメリットを見込んで週5日のオフィスワークを推進した企業は、ある深刻な問題に直面した。
企業の法務部門向け契約ライフサイクル管理(CLM)ベンダーLinkSquaresは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴って、テレワークを積極的に導入した。パンデミックが落ち着く中、同社はオフィスワーク回帰へとかじを切った。
週5日のオフィスワーク再開によって、LinkSquaresは従業員の離職と採用難に直面した。企業の間でテレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークの導入が進む中、同社は求人に、勤務条件として週5日のオフィスワークを明記したのだ。その結果、求人活動が思うように進まなくなったという。
LinkSquaresの従業員はオフィスワークに否定的かというと、決してそうではない。同社は製品開発部門の従業員について、半年ごとの開発計画会議の開催時にのみオフィス出社を求めている。ところがエンジニアを中心とした同部門の従業員が、自主的にオフィスワークをする頻度は増加傾向にあるという。
人事調査会社Global Workplace Analyticsでプレジデントを務めるケイト・リスター氏が「本当の争点だ」と指摘するのが、テレワークとオフィスワークのバランスだ。「企業は週3〜5日のオフィスワークを従業員に求め、従業員は週3〜5日のテレワークを勤務先に求める」とリスター氏は指摘。こうした状況は「今後も変わらない」とみる。
次回は、テレワークやハイブリッドワークの恩恵を受けやすい企業の条件を探る。
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