JavaScriptの代替でも後継でもない「TypeScript」の“本当の役割”はこれだJavaScriptとTypeScriptの違い【第3回】

Microsoftが開発を主導する「TypeScript」は、「JavaScript」の欠点を補う役割を担うプログラミング言語だ。ただしJavaScriptの「代替言語」や「後継言語」ではない。TypeScriptとは結局のところ何なのか。

2023年09月03日 09時30分 公開
[Cameron McKenzieTechTarget]

 「TypeScript」は、Microsoftが開発を主導するオープンソースのプログラミング言語だ。TypeScriptはスクリプト(簡易プログラム)言語「JavaScript」と密接な関係がある。ただし同社は、JavaScriptの代替言語としてTypeScriptを開発したのではない。そもそもTypeScriptとは何なのか。

TypeScriptの“本当の役割”とは?

 「JavaScriptの代替言語」という説明は、TypeScriptの特徴を正確に表さない。TypeScriptは「JavaScriptの機能をより充実させ、技術的により優れた方法で記述できるようにしたプログラミング言語」だ。

 MicrosoftはTypeScriptを、データと処理内容をまとめた「オブジェクト」を中核要素とする「オブジェクト指向」のプログラミング言語として設計し、2012年に公開した。TypeScriptは、ソースコード記述段階における変数の「型」(数値や文字列といったデータの種類)の整合性チェック機能といった機能を備えることで、JavaScriptと比べてソースコードの保守性や一貫性を向上させた。

 TypeScriptのソースコードを実行可能にするには、JavaScriptソースコードに変換する必要がある。TypeScriptソースコードからJavaScriptソースコードへの変換を、TypeScriptでは「コンパイル」と呼ぶ。

 コンパイルで生成したJavaScriptソースコードは、JavaScriptの標準仕様「ECMAScript」に準拠している。ECMAScriptは、複数のWebブラウザにおけるJavaScriptプログラムの相互運用性を確保するために、業界団体Ecma Internationalが標準化した仕様だ。TypeScriptは、ECMAScript準拠のJavaScriptプログラムを開発しやすくする手段だと言える。


 次回は、JavaScriptとTypeScriptの主な違いを整理する。

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