「Windowsアプリケーション」の不要論がささやかれる背景にあるのは、Webブラウザの存在だ。すぐにWindowsアプリケーションがなくなるとは言えない中で、企業が直面する事態とは。
企業が、MicrosoftのクライアントOS「Windows」搭載のエンドポイント(端末)を利用しないという決断をする場合、選択肢の一つになるのは「デスクトップ仮想化」の導入だ。デスクトップ仮想化であれば、Windows端末ではなくても、Windows向けに開発されたアプリケーション(Windowsアプリケーション)を利用できる。
Windowsアプリケーションが今後も残るとは限らないことを前提にすると、ありがちなのは次のような意見だ。デスクトップ仮想化はその場しのぎに過ぎず、いずれは全てが「Webブラウザ」で提供されるようになる――。この考え方に対しては、主に2つの回答が存在する。どちらも的を射ている。
業務に必要なWindowsアプリケーションが多少なりとも存在する限り、企業はWindowsアプリケーションの利用を続けるための対策を打たなくてはならない。全てのアプリケーションがWebブラウザベースになる未来は、当分先の話になる。なぜかといえば、Windowsアプリケーションからの移行は技術的に困難な点があるため時間がかかり、IT部門やエンドユーザー、組織全体に多大な影響を及ぼすからだ。
Windowsアプリケーションを排除するには、非Windowsのプラットフォーム(アプリケーション実行基盤)を選択し、移行にまつわる課題を短期間のうちに解決することが条件になる。CRM(顧客関係管理)システムの「Salesforce」や経費精算ツールの「SAP Concur」、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの「Tableau」などが、特定の目的を達するためのプラットフォームとして成功した理由は何だろうか。企業が必要とする各種の機能を1つのプラットフォームにまとめ、既成のツール群として短期間で利用可能にしたことが大きい。
とはいえ、特定の用途のために社内開発したカスタムアプリケーションの場合、既成のツール群に移行することで全ての要件を満たせるとは限らない。同じことは、Microsoftのオフィスアプリケーション群「Microsoft Office」のクライアントアプリケーション版から、Webブラウザ版に移行する際にも言える。Microsoft Officeのクライアントアプリケーション版は、Webブラウザ版と比べて豊富な機能を備える。
既存のクライアントアプリケーションをSaaS(Software as a Service)などのWebアプリケーションに何の問題もなく移行できるのなら、企業はすでにそうしているはずだ。それができないから、どれほどモダンな将来構想を掲げる企業であっても、Windowsアプリケーションを当面は使い続けることになる。企業はWindowsを使い続けるかどうかではなく、まずはWindowsやアプリケーションをどのように使うのかを考えるべきだ。
第4回は、「非Windows」のエンドポイントが台頭する状況をまとめる。
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