「WebブラウザがあればWindowsはもはや不要」は本当かWindowsアプリケーション継続の是非を問う【第3回】

「Windowsアプリケーション」の不要論がささやかれる背景にあるのは、Webブラウザの存在だ。すぐにWindowsアプリケーションがなくなるとは言えない中で、企業が直面する事態とは。

2023年09月19日 05時00分 公開
[Gabe KnuthTechTarget]

関連キーワード

アプリケーション | Windows | ブラウザ


 企業が、MicrosoftのクライアントOS「Windows」搭載のエンドポイント(端末)を利用しないという決断をする場合、選択肢の一つになるのは「デスクトップ仮想化」の導入だ。デスクトップ仮想化であれば、Windows端末ではなくても、Windows向けに開発されたアプリケーション(Windowsアプリケーション)を利用できる。

 Windowsアプリケーションが今後も残るとは限らないことを前提にすると、ありがちなのは次のような意見だ。デスクトップ仮想化はその場しのぎに過ぎず、いずれは全てが「Webブラウザ」で提供されるようになる――。この考え方に対しては、主に2つの回答が存在する。どちらも的を射ている。

  1. Webブラウザは最終的にあらゆる機能が提供される場所になるので、この考え方は間違っていない
  2. この考え方には誤りがある。全てがWebブラウザで提供されるようになるとしても、それにはかなりの時間がかかるため、デスクトップ仮想化はその場しのぎの手段とは言い切れない

Windowsの代替プラットフォームはあり得るのか

 業務に必要なWindowsアプリケーションが多少なりとも存在する限り、企業はWindowsアプリケーションの利用を続けるための対策を打たなくてはならない。全てのアプリケーションがWebブラウザベースになる未来は、当分先の話になる。なぜかといえば、Windowsアプリケーションからの移行は技術的に困難な点があるため時間がかかり、IT部門やエンドユーザー、組織全体に多大な影響を及ぼすからだ。

 Windowsアプリケーションを排除するには、非Windowsのプラットフォーム(アプリケーション実行基盤)を選択し、移行にまつわる課題を短期間のうちに解決することが条件になる。CRM(顧客関係管理)システムの「Salesforce」や経費精算ツールの「SAP Concur」、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの「Tableau」などが、特定の目的を達するためのプラットフォームとして成功した理由は何だろうか。企業が必要とする各種の機能を1つのプラットフォームにまとめ、既成のツール群として短期間で利用可能にしたことが大きい。

 とはいえ、特定の用途のために社内開発したカスタムアプリケーションの場合、既成のツール群に移行することで全ての要件を満たせるとは限らない。同じことは、Microsoftのオフィスアプリケーション群「Microsoft Office」のクライアントアプリケーション版から、Webブラウザ版に移行する際にも言える。Microsoft Officeのクライアントアプリケーション版は、Webブラウザ版と比べて豊富な機能を備える。

 既存のクライアントアプリケーションをSaaS(Software as a Service)などのWebアプリケーションに何の問題もなく移行できるのなら、企業はすでにそうしているはずだ。それができないから、どれほどモダンな将来構想を掲げる企業であっても、Windowsアプリケーションを当面は使い続けることになる。企業はWindowsを使い続けるかどうかではなく、まずはWindowsやアプリケーションをどのように使うのかを考えるべきだ。


 第4回は、「非Windows」のエンドポイントが台頭する状況をまとめる。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...