AdobeのCIOシンシア・ストッダード氏が掲げる目標の一つは、従業員エクスペリエンスの向上だ。どのような施策に取り組み、最終的に何を目指しているのか。その考えを語ってもらった。
PDFファイルや画像の編集ソフトウェアベンダーとして知られるAdobe。同社の最高情報責任者(CIO)であるシンシア・ストッダード氏は、従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)の向上のためにさまざまな施策を統率している。
CIOのようなIT分野のリーダーには、社内のIT利用に関するさまざまなニーズを把握することが求められる。ビジネスに関する重要な洞察をまとめて確認したい従業員もいれば、独自の機械学習モデルを構築して、詳細な分析を実施したいデータサイエンティストもいる。ストッダード氏は「IT部門が必要なものを用意するのを従業員が待っている状況は望ましくない」と語る。そう考える同氏が各施策を推進する上で重要視しているのは、効率化の手法だ。
「重要なのはIT部門がビジネスに貢献する組織となり、効率化を推進することだ」とストッダード氏は話す。例えばAdobeが重視する取り組みの一つに、データ管理がある。データはイノベーションの原動力になる存在だが、各部門に存在するデータを管理するのは容易な作業ではない。全ての従業員に適合する1つのデータ管理ツールは存在しないため、従業員の業務に応じて対処することを重視しているという。「データ管理の戦略においては効率を重視しなければならない」と同氏は語る。
AdobeのIT部門は、同社に存在するソフトウェアを網羅的に把握するためのプログラムを作成しているという。検索ツールと分析機能を使い、ソフトウェアをカテゴリーごとに分類している。例えばコラボレーションツール、マーケティングツール、データ分析ツールといったようにソフトウェアを分類して目録を作成し、それぞれの所有者を把握できるようにした。こうして全体の状況を理解した上で、さらなる省力化、効率化を図ろうとしている。
こうした取り組みは、技術が急速に変化することに対処するための準備になる。「AdobeのIT部門は、将来必要になるデータやツールを社内に提供することができる」とストッダード氏は語る。
長期的な成功には、各部門が共同で取り組むことが欠かせない――ストッダード氏のこの考えは、2016年にCIOに就任してから変わっていない。「IT部門は、当社の“第2の脳”の役割を果たしているという実感がある」と同氏は話す。各部門の従業員が各自の業務に取り組みながら、「このツールを試してみたい」「生成AI(ジェネレーティブAI)を使ってみたい」といったように、試行錯誤をしながら進むことに期待しているという。
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