生成AIが普及しない理由は「単に高いから」なのか生成AI導入が進む企業、進まない企業【後編】

市場における存在感をますます強める生成AIだが、その導入状況については企業間で差がある。企業への生成AI導入を進めるためには、ある視点を忘れてはならない。

2023年11月16日 07時00分 公開
[Esther AjaoTechTarget]

関連キーワード

人工知能


 AI(人工知能)ベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」の登場から2023年11月で約1年がたった。テキストや画像などを自動生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)の存在感はますます強まっている。GoogleのAIチャットbot「Bard」や、LLM(大規模言語モデル)としてはOpenAIの「GPT-4」、Meta Platformsの「LLaMA」などが登場している。一方で、市場全体を見ると生成AIやLLMの導入は順調に進んでいるとは言い難い。導入が進まない要因は何なのか。

「生成AI」が普及しない原因 単に“高い”から?

 全米の大学向けに教育支援サービスを提供する非営利法人Achieving the DreamでCFO(最高財務責任者)を務めるジャニス・シュテュッケ氏は、「CFOの大半は生成AIの導入についてまだためらっている状況だ」と説明する。近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)や急速な技術の変化、絶え間ない業務改革に伴い、従業員は疲弊している。「生成AIのような新技術の導入には、コストや人的資源が必要となるだけでなく、従業員の精神面にもかなりの負荷を与えることになる」とシュトゥッケ氏は指摘する。

 シュトゥッケ氏は、生成AI導入が進まない要因の一つとして導入組織の規模に言及する。例えば、大企業ならば独自の「LLM」(大規模言語モデル)開発資金を捻出できる可能性がある。一方で、Achieving the Dreamのような中小規模の非営利組織が持つ予算や時間は限られており、仮に効率性や利便性といった生成AIのメリットに魅力を感じたとしても、大金を掛けて導入することは簡単ではない。「中小企業でも容易に生成AIを利用できるよう、生成AIベンダーは料金体系の見直しや、導入に掛かる時間の短縮方法を考える必要がある」(同氏)

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...