企業のシステムにはいつ何が起きてもおかしくない。突然のシステム停止で損害を出さないためには、どのような対策が必要なのか。ネットワークとハードウェアに関するシステム停止のシナリオと対策を紹介する。
ハードウェアの故障や災害、サイバー攻撃など、さまざまな要因で企業のシステムは停止する。災害復旧(DR:ディザスタリカバリー)の十分な対策をしていなければ、致命的な損害が生じる可能性がある。最悪の事態を招きかねない5つのシナリオのうち、ネットワークとハードウェアに関するシナリオと対策を紹介する。
ネットワーク障害は時折発生するものなので、防ぐのが難しいと考えておいた方がいい。例えばインターネットに接続するためのケーブルを重機が切断し、インターネットに接続できなくなることがある。企業において採用が広がっているSaaS(Software as a Service)を利用するには、インターネットへの接続が必要になる。つまりインターネットが利用できなければ業務に悪影響が出る恐れがあるため、ネットワーク障害の対策は極めて重要だ。
大半のネットワーク障害対策は、比較的シンプルだ。簡単にできる対策として、回線の冗長化がある。回線の冗長化とは、予備の回線を含めて2回線を引き入れておくことだ。1回線に障害が発生した場合に予備回線に自動的に切り替えることができる。
他には、固定回線に障害が発生した際に、「4G」(第4世代移動通信システム)や「5G」(第5世代移動通信システム)の無線接続への切り替えができるルーターもある。
ストレージの実装法にもよるが、1台のHDDが故障してシステム全体がダウンすることがある。ストレージ以外にもネットワークスイッチや電源ユニットなど、さまざまな機器が故障する可能性がある。
ハードウェア故障のリスクは、ほとんどの場合は冗長化によって比較的容易に軽減できる。ただしシステムの複雑さが増すほど、コストも高くなることに注意が要る。例えばデータベースサーバに関しては、複数のサーバとネットワーク機器で冗長化することで、システムの可用性を高めることができる。サーバ1台の場合よりも複数台の方が、それだけ導入や運用のコストがかかる。管理者が複雑なシステムを扱うに当たってのトレーニングも必要だ。
クラウドサービスを利用していても、ハードウェア故障の影響を受ける可能性がある。ただしクラウドサービスの場合はシステムが抽象化されており、データのコピーが複数存在することが一般的であるため、システムの再構成はしやすい。
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