Microsoft 365は「Copilot」で便利になるけど実はこんな“注意点”があったオフィスアプリで使う生成AI【中編】

「Microsoft Copilot for Microsoft 365」は、Microsoftのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」で生成AIの機能を利用できるようにするツールだ。利用に当たって知っておくべき注意点とは。

2024年03月17日 10時30分 公開
[Katie FentonTechTarget]

 Microsoftのアプリケーションをサブスクリプション形式で利用できる「Microsoft 365」では、学習を基に新たなデータを生み出すAI(人工知能)技術である「生成AI」(ジェネレーティブAI)のツールとして、「Microsoft Copilot for Microsoft 365」(以下、Copilot for Microsoft 365)が利用可能になった。このツールを使うことで、大規模言語モデル(LLM)を業務の生産性向上に役立てることができる。

 生成AIの機能を業務に役立てるには、組織のデータを有効かつ安全に使えるようにすることが必須だ。その観点を含めて、Microsoft Copilot for Microsoft 365を使い始める前に知っておくべき基本と注意点をまとめる。

「Copilot for Microsoft 365」の押さえるべき基本と注意点はこれだ

 Copilot for Microsoft 365は、Microsoft 365のプランの追加機能として使うことができる。企業向けでは以下のプランで利用可能だ。

  • 大企業向けのエンタープライズ系のプラン
    • Microsoft 365 E3
    • Microsoft 365 E5
  • 一般法人向けのビジネス系のプラン
    • Microsoft 365 Business Standard
    • Microsoft 365 Business Premium

 Microsoftは、より良いユーザーエクスペリエンス(UX)を提供するためにOSを「Windows 11」にすることを推奨しているが、Copilot for Microsoft 365は「Windows 10」でも使用できる。

データの準備とガバナンス

 Copilot for Microsoft 365を導入する前に、IT部門は利用に当たっての考慮事項を確認しておく必要がある。生成AIを活用したAIアシスタント「Microsoft Copilot」は組織のデータに接続することで生産性向上につながる支援をする。その機能を利用するには、セキュリティとプライバシーに関する対処を徹底することが欠かせない。

 まずは従業員が使用可能なデータの範囲を、その従業員が業務で必要とするデータのみにとどめることが重要だ。データを過剰に共有することはリスクを生み出す。IT部門はユーザーの生産性を妨げることなく、アクセス可能なデータの範囲を適切に設定する必要がある。

 Microsoft Copilotが正しくデータを使用できるように、データを整理しておくことも忘れてはいけない。例えば以下のような取り組みを実施することでUXが改善し、結果的にエンドユーザーの生産性向上につながる可能性がある。

  • 冗長なデータを削除する
  • 古くなって不要なデータを削除する
  • ファイル名の付け方を標準化する
  • 分かりやすいキーワードでデータにタグ付け(意味付け)をする

 組織がMicrosoft Copilotを使う際は、コンプライアンス(法令順守)の徹底を意識しながら、データガバナンスを適切に実施するよう心掛けよう。データの準備は時間がかかる上に、複雑な作業が伴う場合がある。そのためIT部門は、データ準備のプロジェクトを重要なステップの一つに位置付け、単独のプロジェクトとして重点的に進めた方がよい。Copilot for Microsoft 365の利用によってリスクが生じないように、データへのアクセスを管理することが重要だ。


 次回は、Copilot for Microsoft 365を使い始めるための具体的な手順を紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...