企業はクラウドサービスを優先的に使う「クラウドファースト」と、必要に応じて利用する「クラウドスマート」のどちらを選ぶべきなのか。考慮すべき点を解説する。
クラウドサービスを優先的に採用する「クラウドファースト」と、クラウドサービスとオンプレミスを使い分ける「クラウドスマート」にはそれぞれ異なるメリットがある。クラウドサービスを利用する企業は、どちらの戦略を採用すればいいのか。「ビジネス要件」や「データの機密性」などさまざまなポイントを解説する。
企業は自社のクラウド戦略を検討する際に、以下の視点から考える必要がある。
技術トレンドに振り回され、事業目標や従業員の使い勝手といったビジネス要件を十分に検討しないクラウド移行は、後に課題が生じる可能性がある。クラウドサービスで業務プロセスをいかに支えたり強化したりできるかの理解が不足していた場合も同様だ。
明確な目標とクラウド技術への理解がない限り、企業はクラウドサービスの恩恵を十分に受けられない可能性があり、コスト増加につながるリスクがある。
金融機関や医療機関など厳しい規制が課される業界では、個人情報などの機密データを扱うために厳格なセキュリティ対策とコンプライアンス(法令順守)が求められる。
こうした業界の企業は、オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」や複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」のアプローチを検討すべきだ。複数のインフラを検討することで、セキュリティとコンプライアンスの要件を満たしながら自社の要件を満たすAI(人工知能)技術やデータ分析、ストレージなどのサービスを選ぶことができる。
クラウドサービス利用時のコスト効率は企業にとって重要な課題だ。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、さまざまな企業が急速にクラウドサービスへ移行する「駆け込みクラウド」を決断した。こうした企業の一部は過剰な出費や特定ベンダーから別のベンダーへの移行が困難になる「ベンダーロックイン」に陥っている。
クラウドコスト管理ツールの重要性は日々増している。適切なコスト管理ツールを活用し、運用最適化の取り組みを継続することが不可欠だ。
残念ながら、一部の従業員は雇用への不安から、クラウド移行に抵抗することがある。クラウドサービスの導入は人員削減を懸念させる。
クラウド導入を円滑に進めるためには、クラウドサービスを積極的に活用する文化を醸成するための教育や研修が重要となる。全従業員に高度なクラウド認定資格を求める必要はないが、Amazon Web Services(AWS)の「AWS Certified Cloud Practitioner」やGoogle Cloudの「Cloud Digital Leader」といった初歩的なクラウド認定資格およびそのトレーニングは、関係者のクラウドサービスへの理解を深め、組織全体でのクラウドサービス導入効率を向上させる。
クラウドコストの高騰により、さまざまな企業が脱クラウドを検討するようになった。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを背景に従業員がテレワークできるIT環境を整えた企業は深刻だ。
そうした企業は早急にクラウドサービスへ移行したため、クラウドサービスを中心としたIT環境に適した人材や予算を確保できていないケースがある。企業はクラウドサービス利用の見直しや監査によって、必要に応じてオンプレミスインフラへの回帰やクラウドサービスの変更を含む脱クラウド戦略を構築する必要がある。
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