“取りあえずクラウド”のIT戦略「クラウドファースト」を進める2つの方法「クラウドファースト」戦略の手法とリスク【前編】

「クラウドファースト」は、システムのインフラとしてクラウドサービスを優先して採用するIT戦略だ。クラウドファーストを取り入れるには、具体的にはどのような方法があるのか。主な方法を2つ説明する。

2023年05月22日 10時00分 公開
[Tom NolleTechTarget]

 システムのインフラとしてクラウドサービスを優先的に採用する「クラウドファースト」は、ユーザー企業のIT戦略として採用が進んでいる。ただし常にクラウドファーストが正しいわけではない。クラウドファーストにはメリットがある一方で、リスクもあるからだ。結果としてクラウドファーストを選ぶにしても、まずはクラウドファーストの手法とメリット、リスクを把握する必要がある。

クラウドファースト「2つの進め方」

 クラウドファーストは、主に以下の2つの方針を取ることができる。

1.既存システムをクラウドサービスに移行させる

 1つ目の方法が、既存のシステムをクラウドサービスに移行させることだ。クラウドサービスを利用することで、インフラの拡張性や新しいシステムとの接続性の向上といったメリットが得られる。

 全てのシステムをクラウドサービスに移行させることは、現実的ではない場合がある。クラウドサービスの利用料金が、オンプレミスインフラのコストに比べて大幅に安くならない限りは、クラウドサービスとオンプレミスインフラを組み合わせたハイブリッドクラウドを運用する方が適している。

2.新規システムをクラウドサービスで構築・稼働させる

 2つ目の方法は、プロジェクトの立ち上げや課題解決などのために新しいシステムを構築する場合、そのインフラとしてクラウドサービスを優先的に採用することだ。既存システムについては、無理にクラウドサービスに移行させない。

 新しいシステムをクラウドインフラで稼働させる場合でも、既存のオンプレミスインフラで稼働するシステムからデータを参照する場合がある。このような場合は、インフラとしてハイブリッドクラウドを検討する必要がある。


 中編は、企業がクラウドファーストを採用する上で考慮すべき、クラウドサービスが抱えるリスクを説明する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news054.jpg

「Threads」が月間アクティブユーザー1億5000万人を突破 今後Xを追い抜くための最善策は?
Metaはイーロン・マスク氏率いるTwitter(当時)の対抗馬として2023年7月にリリースした...

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...