ソフトウェアの機能をサービスと見立て、そのサービスをネットワーク上で連携させてシステム全体を構築するSOA。そもそもSOAとは何なのか、その利点、どういった場合に導入が向いているのかを解説する。
現在、企業のIT基盤に最も求められる要求とは何だろうか。それは、文字通り経営に役立ち、安く、そして早く提供される、いわば「業務に奉仕する基盤」である。そしてこれらがSOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)に期待され、目指す目的である。
しかし、ITの世界でこれらの目的が掲げられることは決して新しいことではない。では、SOAというシステムアーキテクチャは従来と何が異なるのだろうか。それは、経営や業務に直接携わる人間が、自分の望むビジネスプロセスを自ら設計・定義し、ITから提供される「サービス」を直接定義していくという点である。
SOAではアプリケーションの機能を業務に必要な「サービス」という単位に分け、それを組み合わせて全体を構築するITの設計手法である。ここでまず、SOAでいう「サービス」について知っておく必要がある。
最今注目を集めているアプリケーションの新しい利用形態であるSaaS(Software as a Service)でも「サービス」という言葉が使われており混同されがちだが、SaaSでいうサービスとSOAのサービスは根本的に意味が違う。SOAでいうサービスとは「部品」のことであり、SaaSとはベンダーが提供するアプリケーションの機能をユーザーがサービスとして利用するという意味である。
SOAでいう「サービス=部品」は、例えば「受注処理サービス」や「在庫確認サービス」「住所変更サービス」「信用照会サービス」など、ビジネスプロセスで用いる言葉が使われ、一般に「ビジネスサービス」と呼ばれる。SOAのサービスは企業のITを構築する1つ1つの部品を意味し、それらはビジネスプロセスとの結び付きが強いことが特徴だ。
これまでのITプロジェクトを考えてみたい。業務部門はプロジェクトの過程において要件を提供する側であり、決してビジネスプロセスを作る側ではなかった。そのため、業務部門はITが分からない、IT部門は業務部門のニーズを引き出せないといった理由で発生するコミュニケーションエラーにより、最終的な成果物が結局経営や業務に役立たないという悲劇を繰り返してきた。そもそも、現代の企業で業務部門とIT部門がお互いのことを深く理解しようとするには、互いが複雑になり過ぎているのだ。それならば業務担当者が主体的に考えられるように範囲を限定し、ビジネスプロセスを作る権限を委譲すればよい。
SOAでは、下図のように業務担当者は自らが定義するビジネスプロセスに必要なビジネスサービスを選択していく。ビジネスプロセスの変更は自ら実施でき、必要なビジネスサービスに変更があれば、その部分だけを変更することで対応できるようになる。
一方IT部門は、業務部門が望むビジネスサービスを異種環境のアプリケーションの機能から抽出して組み合わせ、複合アプリケーションとして業務部門に提供する。各機能がアプリケーションやプラットフォーム環境に依存しないよう、WebサービスやJMS(Java Message Service)といった標準方式で呼び出せるように構築し、各機能を組み合わせてアプリケーションを構築しやすい環境を作っていく。
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