SaaS形式でも活用できる低コスト電子カルテ「DolphinPro」診療所向け電子カルテ製品紹介:S&I、LSC

医療情報を取り扱うガイドラインの改定で、電子カルテ情報の外部保存基準が緩和された。今回はその流れを受け、2011年1月からSaaS形式でも提供予定の無床診療所向け電子カルテを紹介する。

2010年12月21日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 患者の氏名や住所などの個人情報、既往歴・診断結果といった機密情報を取り扱う医療機関。その情報管理に関しては、個人情報保護法や厚生労働省、経済産業省、総務省などの関係省庁の各種ガイドラインで厳密に定められ、医療情報の外部保存はこれまで対象事業者が限定されていた。2010年2月に厚生労働省が発表した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.1版」によって、民間のデータセンター事業者が契約に基づき、医療機関が保有するデータの外部保存を受託できるようになった。これにより、インターネットを経由して院外のデータセンターが医療情報を保管し、その処理を行うSaaS(Software as a Service)形式の電子カルテが市場に登場している。

 そんな中、エス・アンド・アイ(以下、S&I)は、SaaS型電子カルテサービス「Karte Cloud」を2011年1月から提供開始予定だ。Karte Cloudは、ライフサイエンス コンピューティング(以下、LSC)が開発している無床診療所向け電子カルテ「DolphinPro」の機能をインターネット経由で利用できるサービスだ。診療所向け電子カルテ製品を紹介する連載の第11回目は、Karte CloudとDolphinProの概要を紹介する。

OpenDolphinをベースにした電子カルテ

 DolphinProは経済産業省の公募事業において、デジタルグローブが2002年に開発したオープンソースソフトウェア「OpenDolphin」をベースにした商用版電子カルテ。複数の医療機関を連携した医療や電子カルテの開示などを促進させる「ドルフィンプロジェクト」にも活用されている。ドルフィンプロジェクトは2001年に熊本県の「ひご・メド」、宮崎県の「はにわプロジェクト」で実験運用が開始され、その後、2004年に東京都医師会の「HOTプロジェクト」、2006年に京都府地域医療連携プロジェクト「まいこプロジェクト」などでの取り組みが進められている。

photo LSCの宮長氏

 LSC 営業本部 本部長 宮長正典氏は「LSCはPACS(医用画像診断システム)や超音波診断装置に強みを持っており、事業拡大のために電子カルテとの連携が重要だと考え、電子カルテの開発に着手した」と説明する。

 DolphinProは、WindowsやMac OS、Linuxなどのマルチプラットフォームに対応し、iPhoneやiPadといったスマートフォン/タブレットからでもその情報を参照可能。また、日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携し、厚生労働省のマスター情報をORCA経由で取得する。電子カルテ側で来院患者の情報登録が不要となり、マスター変更時にはORCAのアップデートが自動的に反映される。

DolphinProの主な機能

患者情報管理、2号カルテ作成機能、検査結果の取り込み、テーブルおよびグラフ表示、治療履歴(処方、処置、検査、シェーマ画像)の表示、スタンプの公開とインポートによるコラボレーション、CLAIM(ORCAとの連携)サポート、書類作成機能(紹介状、紹介患者経過報告書など)、XML出力(地域連携やオーダリングシステムへの送信機能)、ソフトウェア自動更新、プラグインによる機能拡張、PACS連携による画像取り込み


photo DolphinPro画面

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