クラウドはIT部門の影響力を低下させるかもしれないが、ディザスタリカバリや事業継続計画には有効だ。米国でCIOを務める筆者お薦めの方法論を紹介しよう。
最悪に思えるときこそ、状況が良くなるときだ。
最近、ある巨大ITプロバイダーのアーキテクトと話した。そのとき彼は、クラウドによってベンダーはCIOを通さずにビジネスを行うことが容易になりつつあると力説した。ベンダーの営業担当者は、例えばマーケティング担当副社長にクラウド型ソフトウェアを直接売り込める。その上、これが一番のメリットかもしれないが、ユーザー組織による製品選択、導入、運用プロセスへのIT部門の関与が不要になるというわけだ。
こうしたことから、われわれIT幹部は、クラウドは災いをもたらすと考えてしまうかもしれない。しかし、私の見方では、クラウド型製品が利用できることで、大きな恩恵も得られる。
例えば、ディザスタリカバリや事業継続計画は、ほんの数年前よりもはるかに容易になっている。昔(つまり、数年前)は、コールドサイトやウォームサイト、ホットサイトが欲しい場合、自前で構築しなければならなかった。そうした投資を正当化するのは、いつも大変だった。使わずに済むことを願っているものにお金を掛けるよう説得するのは、気前のよい取締役会に対してでも難しいと実感した。
これに対し、クラウド型製品では、他社が開発したシステムや既存のインフラを利用して、導入にかかる時間やコストを削減できる。こうしてクラウド型製品を活用するとともに、計画と分析を効果的に行うことで、ディザスタリカバリと事業継続が大幅に容易になる。私のアプローチを例に説明しよう。
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