SMB向けストレージ製品紹介:日立製作所
ファイル仮想化を推進するSMB向けプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform 50」
日立製作所が2011年9月に発表した仮想ファイルプラットフォームのエントリーモデル「Hitachi Virtual File Platform 50」。同社の製品の特徴であるファイル仮想化機能をSMB向けに提供する。
ストレージ問題を解決に導くコンテンツクラウド
メールや業務文書ファイルなどファイル形式の非構造化データの増大が指摘されて久しい。最近では特に「コンテンツデポ」と呼ばれるサービスプロバイダーからのニュースや株価・財務情報、ビデオ・音楽などのコンテンツ、さらにクラウドサービスが提供するデータが企業内で急増している(関連記事:ゼタバイト時代の企業ストレージ環境とは)。ある予測データによると「2009年から2014年までにコンテンツデポが生み出すデータとその他の非構造化データを合わせたデータ量は、年平均成長率で約60%増加し続ける」という。
現在のストレージ環境について、日立製作所 情報・通信システム社 統合プラットフォーム販売推進本部 販売戦略部部長、馬場政彰氏は「データの急激な増加に伴うストレージの追加導入によって、ストレージが分散してシステムが複雑化し、さらにその運用管理の煩雑化が深刻になっている。そのため、多くの企業でデータの効率的な運用管理のニーズが拡大している」と語る。特に、人的リソースが限られる中堅・中小企業(SMB)ではなるべく手間を掛けずにデータをバックアップしたり、データ容量を容易に拡張可能にする方法などが求められている。加えて、まずはスモールスタートから開始する企業が多いという(関連記事:中堅・中小企業向けNAS市場が活況化した理由)。
そうしたニーズへの最適解として、日立製作所が現在取り組んでいるのが「コンテンツクラウド」の実現である(関連記事:クラウド以後のストレージ未来予想図)。コンテンツクラウドとは、拠点や部門に分散して個別システムにサイロ化してしまったファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)をクラウド上に統合・集約して一元的に運用管理することで、システムのTCOを削減することを指す。そのコンセプトを製品化したのが仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」(以下、VFP)シリーズだ。日立製作所は2011年9月、VFPシリーズのSMB向け新モデル「VFP50」を発表した。
低価格で提供するSMB向け仮想ファイルプラットフォーム「VFP50」
VFP50は標準構成で99万7500円(税込み)という価格が特徴だ。従来のVFPシリーズのエントリーモデルが800万円であったことを考えると、同社のSMB向けNAS市場に賭ける意気込みがうかがい知れるだろう。
VFP50の筐体はタワー型と4Uサイズのラック型の2つから選べる。1ノード構成で搭載メモリは4Gバイト、SATAドライブを4基まで搭載可能でその物理容量は最大8Tバイトだ。その導入作業は「通常ならこれらの作業に数時間を要するところ、ストレージに詳しくない担当者でも10分程度で利用開始できるように簡素化している」(馬場氏)という。
VFP50ではケーブルを接続して電源をONにしてウィザード形式の管理画面を立ち上げ、そのGUIからシステム設定やネットワーク接続、サービス設定などを行うことで初期設定が完了する。
また、データ移行時も業務を止めないことに配慮している。一般にファイルサーバやNAS環境では、専用のアプライアンス製品を別途用意してデータ移行を実施する。その処理中は業務を停止する必要があることが多い。VFP50のデータ移行機能では、移行元のNAS/ファイルサーバを接続すると、バックグラウンド処理でデータ移行を実施。クライアントはデータ移行に関係なく、その処理中も業務を継続できる。
クラウド環境への入り口としてのVFP50
そしてVFP50のメリットは、VFPシリーズの特徴である「Cloud on-Ramp」(クラウド環境への入り口)と呼ばれるファイル仮想化機能を継承していることだ。
Cloud on-Rampは、拠点や部門ごとに分散したVFPのデータをデータセンター側のストレージ「Hitachi Content Platform」(以下、HCP)へ自動的に集約する。アクセス頻度の少ないファイルや更新日次の古いファイルなどをHCPに移動させることで、ユーザーは目的のファイルの所在を意識せずに、従来通りアクセスできる。
日立製作所 情報・通信システム社 RAIDシステム事業部 事業企画本部 事業戦略室 室長 真田明美氏は「通常、NAS統合後はデータセンターに集約したデータを拠点ごとにアクセスする形になるため、WAN帯域を占有したり、アクセス性能が極端に低下してしまうこともある。Cloud on-Rampでは頻繁に使うデータを拠点のVFPにキャッシュすることで高速なアクセスを可能にする」と説明する。また、全てのデータをデータセンターで一元管理するため、バックアップやアーカイブの効率化が図れるという。さらにHCPにはデータの圧縮機能や重複排除機能などが備わっており、増加し続けるデータの量を減らすことでその投資の最適化を図っている。
震災後に問われ出したダウンタイムの最短化
2011年3月の東日本大震災後、企業の災害復旧や事業継続への関心が高まった(関連記事:震災後、企業のBCP《事業継続計画》はどう変わった?)。その後、RTO(目標復旧時間)の最短化など「いかにダウンタイムを短縮できるか」という点がストレージに厳しく問われているという。馬場氏は「Cloud on-Rampであれば、仮にローカルのVFPが破損しても新たにVFPを設置するだけで最初にデータの管理情報を回復し、アクセスがあったデータをオンデマンドでリストアしながらバックグラウンドでデータを移行する。そのため、全データの回復を待たずに業務を再開することも可能」とそのメリットを強調する。
さらに、日立製作所のクラウドサービス「Harmonious Cloudセンタ」から提供されている従量課金制の「コンテンツマネージドサービス」を利用することで、データの保存容量などを柔軟に拡張できる。システム規模に応じた最適な投資でバックアップやアーカイブが可能になり、SMBでもVFP50によるCloud on-Rampのメリットを低コストで享受できるようになるという。
なお、2011年11月にはVFP50の上位バージョンとなる「VFP70」のリリースが予定されている。本体は2Uラックマウント型の1ノード構成になるが、クラスタ構成への拡張が可能でドライブの最大搭載容量は170Tバイトになる予定だ。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 構成 | 1ノード |
| 搭載メモリ | 4Gバイト |
| I/Oインタフェース | GbE×2ポート |
| 最大搭載ディスクドライブ数 | SATA 2Tバイト×2、またはSATA 2Tバイト×4 |
| 対応プロトコル | NFS、CIFS |
| RAIDオプション | RAID 1、RAID 5、RAID 6 |
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