タレントマネジメント製品紹介【第7回】
「SmartCompany」が目指す、国産タレントマネジメントによる組織力強化
海外企業をお手本にしたタレントマネジメントではなく、日本企業の組織力を高めるタレントマネジメントとは何か? 国産のパッケージ製品「SmartCompany」は日本型組織の支援に注力する。
日本企業の人事の文化や慣行にマッチ
「SmartCompany(スマートカンパニー)」は、宮城県仙台市に本社を構えるソフトウェア企業、サイエンティアが開発・販売する人材管理パッケージ製品。同社は、人材管理分野のシステム開発やパッケージ開発・販売に特化したビジネスを展開しており、公共分野、特に国公立大学向けの人事・給与システムの世界では高いシェアを持つ。
SmartCompanyは、2000年の販売開始以来、約80社の企業に導入されている。一般的に人材管理パッケージ製品というと、企業の人事部門の業務効率化、例えば給与計算や勤怠管理などの作業を自動化するものというイメージが強いが、SmartCompanyにはこうした機能は備わっていない。サイエンティア 取締役 第2事業部長 藤井 薫氏によれば、SmartComapnyは人事部門だけでなく、企業内のあらゆる立場の人が活用できる「人材マネジメントシステム」を目指して開発されたという。
「既に基幹業務システムで給与計算や勤怠管理をカバーしている企業に対して、人材マネジメントのソリューションをフロントシステムとして外付けするというのが、SmartCompanyのコンセプト。人材マネジメント系のシステムは給与計算や勤怠管理のそれとは異なり、企業規模や従業員数に仕様があまり左右されないため、SmartCompanyのユーザー企業も従業員数十人から3万人までと多岐にわたっている」
ここでいう「人材マネジメント」とは、具体的には人事評価、目標管理、要員計画、キャリア開発といった業務分野を指す。近年、これらの分野は「タレントマネジメント」ソリューションとして、海外ベンダー製品を中心に急速にIT化が進んでいる。しかし藤井氏は、「人の出入りが激しい海外企業は、優秀な人材をいかに採用するか、幹部候補をいかに選抜して育成するかという点を重視している。従って海外のタレントマネジメント製品もそうした機能に重点を置いている。しかし日本の企業文化やビジネス慣行は海外とは異なり、従業員を解雇せずに社内で長い時間をかけて育成することで、組織全体の力を高めようという指向が強い。SmartCompanyは、こうした日本企業の特徴に合った人材マネジメントを可能にする製品だ」と、同製品が日本企業の人事や雇用の慣行と高い親和性を持つことを強調する。
人材管理システムついての記事
標準テンプレートでカスタマイズを抑えた導入が可能
SmartCompanyは、「人事情報」「目標管理」「人事評価」「キャリア開発」「要員計画」「サーベイ・診断」の6つのモジュールで構成されている。これらのモジュールは個別に導入することが可能で、場合によっては各モジュールに含まれる特定機能のみの導入も可能だ。
これらのモジュールのうち、目標管理と人事評価、キャリア開発の3つには「標準テンプレート」という機能が用意されている。あらかじめ用意された複数種類のテンプレートの中から、自社の業務形態に最もフィットするものを選び、パラメータを設定するだけで、カスタマイズ開発を施すことなく効率的にシステムを構築できるという機能だ。
人事評価においては企業ごとにその制度や評価項目がさまざまで、パッケージを導入する際にはパッケージ仕様と既存業務とのギャップを埋めるためにカスタマイズ開発を行うのが一般的だ。しかし藤井氏によれば、「個々の評価基準などは各社各様だが、その基本構造に大きな違いはない。そこでSmartCompanyでは、これまで長く人事ソリューションにかかわってきた経験を生かし、幾つかのタイプのテンプレートを用意しておき、それらのパラメータを設定するだけであらゆる業務に対応できるようにした」という(参考記事:ERPグローバル展開のポイント「テンプレート」を極める)。
このテンプレートの業務適合率は高く、これまでの導入実績の中では、全機能の約80%がカスタマイズなしで導入できたという。「システム導入に掛かるコストや時間を大幅に節約できるため、ユーザー企業からの評価も非常に高い」(藤井氏)
また、目標管理と人事評価のモジュールは、6つあるモジュールの中でも特にニーズが高く、SmartCompanyを採用する企業の大半がこの2つを導入している。その際、冒頭で紹介した「人事部門以外でも使える」という特徴が、多くの企業に評価されているという。
目標管理モジュールでいえば、単に人事部門の目標管理業務を支援する機能だけでなく、経営層やマネジメント層のための「マネジメントツール」としての機能を数多く備えている。例えば、全社目標を事業部目標、課の目標、個人の目標に落とし込む機能、各従業員が設定した目標の達成進捗状況を、従業員と上長の間で共有できる機能などがそれだ。また、ユーザーは自身が所属・管轄する部門だけでなく、他部門の目標も参照できるため、それぞれの立場から部や会社全体のビジネスゴールを常に他の従業員と共有できる。
人事評価モジュールも、単に現場から上がってきた評価結果を人事部門で処理するためのものではなく、人事評価に直接携わる中間マネジメント層や現場従業員による評価プロセスそのものを可視化し、きめ細かく制御できるようになっている。一例を挙げれば、複数のプロジェクトに携わっている従業員に対する評価は、直属の上長が一括して行うのではなく、個々のプロジェクトの責任者が個別に評価を下し、それらを最終的な評価に反映できる仕組みが備わっている。
「評価の基準となる目標を評価期間中に変更する場合も、古い目標を削除せずに傍線で消して、内容が残るようにしている。一見すると細かい機能のようにも見えるが、日本企業の人事部門はこうした点を非常に気に掛けるので、SmartCompanyではそうしたニーズにもきめ細かく対応している」(藤井氏)
日本企業のニーズに合ったタレントマネジメント
一方、現在注目を集めているタレントマネジメントのソリューション領域を主にカバーするのが、キャリア開発と要員計画の2つのモジュールだ。藤井氏は、SmartCompanyが目指すタレントマネジメントソリューションの姿を、次のように説明する。
「キャリア情報とスキル情報、そして人事情報。この3種類の情報を自由に組み合わせて、検索処理や統計処理を簡単に行える仕組みの実現を目指している」
例えばキャリア情報については、個々の従業員の職務履歴書を内部で保持し、人事部門はもとより、従業員自らが自分のキャリアについての情報を入力、更新できるようにしている。SmartCompanyの「あらゆる立場の人が使えるフロントシステム」としての特徴は、こうした機能にも表れている。ただし職務経歴書の内容は、そのままでは検索や統計の対象データとして扱うことができない。そのためSmartCompanyでは、職務経歴書の個々の入力項目に対して「キャリアタグ」というタグ情報を付加することで、キャリア情報のきめ細かい検索・統計を可能にしている。
また従業員のスキル情報も、現在関わっている業務に関するスキルだけでなく、過去の職歴や教育履歴、関心分野なども含め、幅広い範囲のスキル情報を収集した上で、いわゆる「スキルディクショナリー」と呼ばれるデータベースで一括管理する。もちろん、この中に登録された個々のスキル情報も、全て検索・統計の対象となる。
ここ1年ほどの間で、このスキル管理のソリューションに高い関心を払う企業が増えてきているのだという。しかも、企業の人事部だけではなく、メーカーの技術部門や研究開発部門からの問い合わせが増えてきていると藤井氏は説明する。
「こうした企業では、現在従業員が持っているスキルセットを棚卸して、現状を可視化した上で、あるべきスキルセットに向けた人材戦略を立てたいというニーズが高い。これは単なる人事考課の枠を超えた戦略的な取り組みで、まさにタレントマネジメントそのものだといえる」
このキャリア情報、スキル情報に、人事情報モジュールが管理する一般的な人事属性情報を組み合わせることで、例えば「東京エリア・30歳以下・海外での職務経験が3年以上・新規開発の職務経験が5年以上・素材開発のスキルを持っている」といった、極めて複雑で高度な人材検索が可能になる。またこれらの情報を集計し、統計処理を施すことで、精度の高い人材マップを作成、表示することもできる。
さらには、こうしたスキル、検索の機能を生かした「後継者計画」の機能も備わっている。タレントマネジメント製品にとっては今や必須ともいえる後継者計画機能だが、SmartCompanyでは人事部や経営層が「このポストに見合う従業員」を検索できるだけでなく、逆に従業員の側からも「自分に合うポスト」を検索し、キャリアのシミュレーションを行えるようになっている。このような機能にも、「あらゆる立場の人が使えるフロントシステム」「日本企業の文化にマッチした社内キャリア育成」というSmartCompanyの製品コンセプトが表れている。
オンプレミスだけでなくクラウドでの利用も可能
SmartCompanyの導入・運用形態は、社内にサーバを立てて環境を構築するオンプレミス型がメインだが、2010年にはクラウド型でのシステム提供も開始した。クラウド型の場合、ユーザーは月単位で利用料金を支払って、データセンター上で運用されているSmartCompanyをインターネット経由で利用することになる。その利用料金は、「5年間使い続けた場合、オンプレミス版とほぼ同じ総額になる」(藤井氏)程度だという。ただしもともと、オンプレミス版自体がライセンス価格を低く設定しているため、オンプレミス版、クラウド版ともに低コスト導入が可能だと藤井氏は言う。
「従業員3000人の企業で、人事評価と目標管理のモジュールを導入した場合、ソフトウェアのライセンスと導入支援サービスの費用はおよそ1600万~1700万程度。全てのモジュールを導入したとしても、3000万円程度。これにハードウェアの費用と、さらにカスタマイズを行う場合にはその費用が加わる」(参考記事:【市場動向】導入100億円は昔の話? ERPを高くする技術、安くする技術)
またクラウド版は、特に従業員数1000人以下の場合、かなり費用を安く抑えることができるという。
「従業員300人程度であれば、年間百数十万円ほどで利用できる。クラウド版だからといって機能を制限しているわけではなく、大規模なオンプレミス利用の場合と同じくSmartCompanyのフル機能を使うことができるので、かなり費用対効果は高い」(藤井氏)
またサイエンティアでは、SmartCompanyの開発・販売・保守および導入支援とともに、子会社「サイエンティアコンサルティング」を通じて人材マネジメントのコンサルティングサービスも提供している。
「われわれは『個人の力を、組織の強さに』というビジョンを掲げて、人材管理ソリューションを顧客に提供している。このビジョンを実現するに当たり、ITソリューションと人材コンサルティングの両方を提供できることは、われわれならではの大きな強みだと考えている」(藤井氏)
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