Appleが2種類の画面サイズの「iPhone」を提供する可能性は十分ある。「iPad mini」の成功に学び、Appleが既に開発に動き出したとみられるふしも――。
私は最近、米AppleはiPhoneの5インチ画面バージョンを投入すべきだと思うようになってきた。グローバルな携帯端末市場で同端末が長期的に生き残るためには、それが不可欠なのだ。
iPhoneの現行モデルのファンの怒りを買う前に、「といっても、Appleが現行の小型端末の製造を中止すべきだという意味ではない」ということを付け加えておきたい。現行モデルも必要なのだ。
Appleは「万能サイズ」という考え方を改める必要がある。1種類のスマートフォンであらゆる人々のニーズを満たすことはできないのだ。この事実を受け入れようとしないために、Appleは顧客を失いつつある。
大型ディスプレーを搭載したスマートフォンが欲しい人は、Appleのライバル(韓国のSamsungなど)の製品の方に流れている。これらの人々はAndroidベースの端末を選ぶことで、欲しい物を手に入れることができるのだ。すなわち、自分のニーズに合ったスマートフォンである。
iPhoneの画面サイズについては、ずっと前から議論が続いている。一方は「Appleは画面サイズを大きくすべきだ」と主張し、もう一方は「大きなiPhoneは扱いにくい」と反論する。
しかし「5インチディスプレーは大き過ぎて一般に受け入れられない」という議論は、「Samsung Galaxy S III」によって吹き飛ばされてしまった。4.8インチの画面を搭載する同端末は、わずか1年足らずで3000万台以上も売れたのだ。
一方、4インチディスプレーを搭載したAppleのiPhone 5の売り上げも好調だ。同社がこのフォームファクターを放棄するのは間違いだ。
私が「Appleは4インチ画面の携帯端末を作るのをやめて、大型画面モデルに完全に移行すべきだ」と提案していないのは、それが理由だ。
2種類のiPhoneモデルが必要なのは、ユーザーが2つの大きなグループに分類されているからだ。
データ志向:このグループにとって、iPhoneはどこにでも持ち運べる小さなコンピュータである。Webへのアクセス、ゲーム、動画の閲覧、各種アプリの実行などにiPhoneを使っている。このグループのユーザーにとっては、画面が大きければ大きいほどいい。電話もするが、それほど頻繁ではない。
電話志向:もう一方は、iPhoneの電話機能を重視するグループで、四六時中、電話をしている。だから扱いにくい大型の端末を好まない。アプリも利用するが、端末の主要な用途は電話なのだ。
Appleが市場で最も有力なプレーヤーになるためには、これら両方のグループに訴求する必要がある。
既にAppleは大型iPhoneの開発に動き出しているのではないか、と思われるふしもある。アジア方面からそんなうわさがしきりに流れてくるからではない。こういったうわさは全てまゆつばものだ。Appleが古い殻から脱皮しようとしていることを示す最大の証拠は、iPadシリーズだ。
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