自動車業界の大競争時代、デンソーが生き残りを懸けて挑むOSS&クラウド化ガートナーサミット 2015 リポート

自動車業界は大競争時代に突中し、それを支えるITもまた変革を求められている。ホストからいち早くオープン化に踏み切ったデンソーのIT子会社が、プライベートクラウドの取り組みを語った。

2015年05月29日 08時00分 公開
[荒井亜子TechTargetジャパン]
IT基盤刷新の方針(出典:ガートナー、2015年5月)《クリックで拡大》

 自動車業界は今、再び大競争時代を迎えている。「メインの市場が先進国から新興国へ変化し、消費者のニーズは高級車と低価格車に二極化してきている。地球環境に関しては、CO2削減への要請が世界的に強まり、自動車のエンジン機能はガソリンなどの内燃機関から電気モーターへと軸足が移ろうとしている」と話すのは、大手自動車部品メーカー デンソーの100%子会社であるデンソーITソリューションズの代表取締役社長 今井孝雄氏だ。「事業の3分の1がエンジン」(今井氏)というデンソーにとっては、業務転換にもかかわる厳しい状況だ。

 こうした経済的・環境的変化は、生産構造も変化させている。これまでのように本社のある日本で設計して複数の海外拠点で組み立てるという1対Nのやり方から、例えば欧州で設計し中国で生産するという最適地設計/最適地生産のN対Nの方式に変わってきている。生産構造がこのようなネットワーク型になれば、経営構造も単独重視から連結重視へ、部分最適から全体最適へとシフトしなければ立ち行かなくなる。

 自動車業界全体で販売市場、消費者ニーズ、生産構造、経営構造と、全ての仕組みが大転換を迫られる中、それを支えるITとて例外ではない。デンソーのグローバルなIT活用のヘッドクオーターの役割を担うデンソーITソリューションズは、自動車業界の世界的な大競争時代に対応すべく、最新ITを駆使しビジネスのスピードと質を向上させる「次世代IT基盤」への刷新に挑む。2015年5月27日に開催された「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2015」の講演内容を基に、デンソーITソリューションズのプライベートクラウドの取り組みをリポートする。

第一次オープン化で生まれた多数の問題

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