米調査会社451 Researchのデータセンターとデジタルインフラ担当のアナリストで副社長のミシェル・ベイリー氏は、Dellがクラウド向けハードウェアのサプライヤーを目指すことは理にかなうが、企業においてハイブリッドクラウドを活用しやすくする方法を見いだすことが必要だという。
「Dellが出遅れていることは疑いようがない」とベイリー氏は述べ、同社が2015年、クラウド戦略強化のためにHPからジム・ガンティエ氏を引き抜いたことも言い添えた。Dellは、米Amazonの「Amazon Web Services」や米Microsoftの「Microsoft Azure」と争うより、世界のクラウドプロバイダー2万5000社とパートナーシップを結び、Dellの「Boomi」などのツールを使ってシステムインテグレーターとなる必要がある。
その状況にVMwareが加わった。VMwareはパブリッククラウド市場で苦戦している。
VMwareも激しい競争にさらされている。新旧のハイパーコンバージドインフラ製品で新規市場に参入しようと試みるも、あまり成功せず、新たなオープンソース分野でも低調だとガードナー氏は言う。
VMwareはパブリッククラウド戦略でも成果が出ず、現在はハイブリッドクラウドとSoftware Defined Data Center(SDDC)の方に注力しているとガードナー氏は話す。VMwareがハイブリッドクラウドとSDDCの市場で成功する可能性はあるが、下記などの業界大手各社が立ちはだかる。
これらの企業の中には、1、2年の長い移行期間をかけてまで自社製品と業界最大手ITサプライヤーの製品を完全に統合させようとは考えていないところもあるとガードナー氏は言う。
「各社とも、このハイブリッドクラウド市場で優位に立つため、態勢を整えるのに忙しい。IT業界史上最大の企業合併などという負担を背負い込むことはしないだろう」(ガードナー氏)
大きな疑問は、この買収で合計400億ドルの負債を引き受け、両者の統合に時間を費やした後、Dellが引き続きイノベーションを進めることができるのかという点だ。Dellの最高経営責任者(CEO)のマイケル・デル氏は電話会議で、この合併によってオンプレミスデータセンター、仮想化、SDDCにクラウドコンピューティングのメリットがもたらされると述べた。
デル氏は、成長中のセキュリティ市場に向けては、米Dell SecureWorksとEMC傘下の米RSA Securityの連携で対応する。さらにVMwareのエンタープライズモビリティ管理(EMM)製品「AirWatch」が加わることに期待していると述べた。
同氏は、IT業界には長い協業の歴史があること、Dellは既にMicrosoft、Oracle、米Red Hatと協力関係にあることを挙げて、これらの企業との連携を今後も続けていくと語った。
また、統合後の新会社では、VMwareの仮想化ソフトウェアしか使わないということにはならないという。VMwareのCEO、パット・ゲルシンガー氏は、VMwareにはHPおよびLenovoと強いパートナーシップがあると述べた。
前出451 Researchのベイリー氏は、DellとEMCが仮想化ソフトウェアについて今後も中立を保つことは重要であると述べ、企業顧客がHPのサーバでVMwareの仮想化ソフトウェアを使うことに関しては、干渉すべきではないと話した。
EMC関係者によると、EMCは傘下の非公開企業の米VCEとCiscoのパートナーシップを継続し、広範なエコシステムを続けていく意向だという。
VCE製品の大多数は大企業向けで、特に通信事業者や金融機関などが対象だ。Dellも、VCEの「VBlock」同様の機能を持つ製品やその他のコンバージドインフラを提供してはいるが、いずれも大企業向けではない。
「重複する部分は意外に少ないだろう」とキング氏は述べ、DellにとってはVCEのポートフォリオを維持、拡大していく方が賢明だと語った。
今回の買収でEMCの株主は1株当たり約33.15ドルを手に入れる。VMwareは引き続き公開企業として存続する。
デル氏は人員削減の可能性も示唆し、2015年9月にHPが3万人の削減を発表したことを引き合いに出し、他のIT企業で昨今行われているより大規模な人員削減に触れた。また、同氏によると、Dellの新たな300億ドル規模のエンタープライズデータセンター事業は米マサチューセッツ州ホプキントンに本拠地を置き、統合後の新事業の拠点はオースティン、シリコンバレー、ボストンの3カ所で展開する。
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