オープンネットワーキング新潮流【前編】
本当にお得? “無印”ネットワークスイッチの中身とは
ホワイトボックススイッチは、ネットワークハードウェアとその上で実行されるネットワークOSを分離する。たとえオープンネットワークが万人向けにならなかったとしても、これだけでも十分大きな変化だ。
ソフトウェア定義のネットワーク(SDN)に対する審判はまだ下されていない。だが、ホワイトボックススイッチは時の試練に耐え得るかもしれない。
「ディスラプション」は、現状を覆す可能性のある新しい概念であればどのようなものにも適用されるテクノロジーバズワードだ。2010年以降、ネットワークの分野では実に多くのディスラプションが発生した。特に、ソフトウェア定義のネットワーク(SDN)によって一元管理という概念が復活した。SDNではアプリケーションでネットワーク構成を管理し、一元管理されたコントローラーを通じて、ドメイン内のネットワークハードウェアとソフトウェアにコマンドを発行する。
SDNが無理でもホワイトボックススイッチは存続する
ホワイトボックススイッチは、SDNの副産物だ。ホワイトボックススイッチは、物理的なネットワークスイッチとそのネットワークOS(NOS)ソフトウェアを切り離している。ベンダーと専門家はSDNと一元管理によるネットワーク制御のメリットについて今も考え込んでいるが、ホワイトボックススイッチは独自のメリットによって存続する可能性がある。たとえSDNが途中で脱落したとしてもだ。
ベンダーと専門家はどちらもSDNと一元管理によるネットワーク制御のメリットについて今も考え込んでいるところだが、ホワイトボックススイッチは独自のメリットによって存続する可能性がある。たとえSDNが途中で脱落したとしてもだ。ITの専門家は、この種のサーバに関する柔軟性に慣れているが、ネットワークはまた別の問題だ。というのも、ネットワークに関しては、ベンダーがこれまで自社のソフトウェアとハードウェアを密接に結び付けてきたためだ。
各ベンダーはソフトウェアとハードウェアペアで提供するアプローチを取ることで、ハードウェアの性能を十二分に引き出せるように自社のNOSを開発することが可能になっていた。また、これはベンダーが料金を上乗せする理由にもなる。企業が自社のスイッチを構成するために特定のプロセスを標準化している場合、そのプロセスを実行する特定のコマンドラインインタフェース(CLI)に企業は縛られることになる。だが、このようにコストがかさむ状況を、豊富なノウハウを持つIT企業は厄介だと感じるだろう。必要なソフトウェアを入手するためにハードウェアに対して過剰に請求されていると感じるためだ。
コスト的に少々痛いのは、多くのネットワークスイッチが搭載しているハードウェアは、同クラスのホワイトボックススイッチ製品のそれとほとんど同じだということだ。こうしたハードウェアはマーチャントシリコン(汎用チップ)を使用している。つまり、ネットワークベンダーはそのようなチップの設計と製造を(米Avago Technologiesによる買収が進んでいる)米Broadcomのようなサードパーティー企業に外部委託している。Broadcomの「Trident II」「Trident II Plus」「Tomahawk」といったチップセットはベンダー固有のスイッチとホワイトボックススイッチの両方に搭載されており、性能も変わらない
そうなると、問題となるのは差別化だ。複数の競合するスイッチに同じハードウェアが搭載されているのであれば、特定のネットワークスイッチに割り増し料金を払う必要があるのだろうか。その差別化要因となるのがNOSだ。ホワイトボックススイッチの場合、ネットワークハードウェアとNOSが切り離されているため、企業はスイッチ自体の機能とコストを評価し、独自のメリットで勝負しているNOSと組み合わせてスイッチを使用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
5
“脱Excel”を待ち受ける乱立問題 カカクコムが新ツール導入を見送った理由
-
6
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
7
VMware離れがやっぱり加速 2500台のVM移行に挑む製造大手から学ぶ現実解
-
8
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
9
「ひとり情シス」が急に退職 専門商社が外部パートナーと挑んだネットワーク刷新の裏側
-
10
ベテランエンジニアが直面する危機 半数が「ブルーカラーへの転向」を視野に
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー