スマートフォン新モデルは今後も数を増す一方だ。その中から自分に最適なモデルを見つけ出すために重要な手掛かりになるのが「スペックシート」だ。その活用次第では無駄な投資を大幅に節約できる。
スマートフォンのスペックシートを詳しくチェックしたことがあるだろうか。スペックシートに記載してある数字や用語が、スマートフォンの何を意味しているか分かるだろうか。スペックはユーザーの操作性に直接つながっていないことが多いため、Appleのファンは長年「スペックシートは重要ではない」と主張している。しかし、客観的な指標は購入するモデルの決定において重要な手掛かりとなる。この記事では、スペックシートに書いてある単語を理解するために必要な知識を解説する。
スペックシートによっては、プロセッサを「SoC」(System on a Chip)や「CPU」(Central Processing Unit)と書く場合もある。プロセッサは実質的にスマートフォンの頭脳といえるもので、検討するスペックにおいて最も重要な項目の1つだ。スマートフォンのプロセッサは、CPUとGPU(Graphical Processing Unit)を搭載する。CPUは、一般的にARMアーキテクチャに準拠している。
プロセッサの処理速度は、単位としてMHzまたはGHzを使った数値を使う。この数値はプロセッサの“動作クロック”を示している。クロックとは、1秒間にプロセッサが処理できる命令の数に相当する。1MHzで動作するプロセッサは1秒間に100万命令を処理でき、1GHzで動作するプロセッサは10億命令を処理できる(1GHzはおよそ1000MHz)。CPUに表示された数字が大きいほどプロセッサの動作速度は速くなる。新しいスマートフォンで、公表しているプロセッサの動作クロックが1GHz未満のモデルを見かけるのはめったにないだろう。一般的に、ゲームや負荷の高いアプリを実行する場合には、より高い動作クロックが望ましい。ただし、メールやSNSの投稿などの用途では高速である必要はない。
プロセッサで次に注目したいポイントは、コア(チップ上のプロセッシングユニット)の数だ。プロセッサのラインアップには、シングルコアタイプとマルチコアタイプがある。コアの数が増えるほど、プロセッシングユニットの数が増え、スマートフォンでも大幅な遅延を生じることなく同時に実行できるタスクの数が増える。2016年3月時点における、スマートフォン向けプロセッサのコア数で最大は8コア(オクタコア)だが、多くのスマートフォンは依然として4コア(クアッドコア)のプロセッサを搭載している(現在のスマートフォン向けオクタコアプロセッサも、同時に動作するコアの数という意味で実質的にはクアッドコア相当といえる)。
マルチコアプロセッサは、マルチタスクをサポートするソフトウェアを使うときに効果を発揮する。2016年に登場する予定のスマートフォンには、最低でも2(デュアル)コアのプロセッサを搭載する見込みだ。ただし、コア数が多く、動作クロックが高いからといって、それが高い処理能力には直接つながらないことに留意したい。処理速度にはソフトウェアも重要な役割を果たしており、優れたソフトウェアはプロセッサが強力でなくとも軽快に動作するからだ。なお、マルチコアプロセッサがその性能を発揮するには、ソフトウェアのプログラムコードに複数のコアと動作クロックを活用するように明示する必要がある。
Appleの「iPhone」シリーズは、その登場した時点においてハードウェアスペックがGoogleの「Android」を搭載したスマートフォンのハイエンドモデルを下回ることが多い。しかし、iPhoneのパフォーマンスはAndoird搭載モデルに負けていない。これは、AppleがiPhoneのOS「iOS」をハードウェアの処理能力をフルに引き出すように設計しているからだ。ハードウェアとソフトウェアの両方を自社で開発しているAppleだから実現できる技といえる。
プロセッサのスペックでは、“64ビット対応”という記載を見ることもあるだろう。これは、従来の“32ビット対応”プロセッサのアップグレード版と考えていい。64ビット対応プロセッサでは、32ビットプロセッサと比べて大きなメモリブロックへのアクセスが可能になり、複雑なアプリの実行、効率的なマルチタスキング処理ができる。
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