ベンダーの“希望的観測”を検証する
2017年のストレージ市場、ベンダーの“大いなる希望”と“渋い現実”のギャップは?
データストレージベンダーが2017年のデータストレージ技術について発表した予想を、長年この業界をチェックしてきた専門家が検証する。
データストレージ業界が2017年に実施したデータストレージベンダーの動向予測に多くのIT関係者や企業のIT担当者が注目している。こうした調査は、一般の意見を聴くアプローチで、その調査結果を説得材料にしてデータストレージ技術の必要性を説いて宣伝に使う目的で、毎年のように実施している。
この記事では、私が注目したデータストレージベンダーによる業界予測を、多分それより偏見の少ない私が検証している。なお、このような記事の“作法”に従って、データストレージベンダーの具体的な社名は伏せておく。
バックアップリストアの現場は2017年も混乱する
データセキュリティ企業が出してくる報告書の1つで「大企業の90%以上が年に少なくとも数回の大規模インシデント発生を報告し、ほぼ60%は少なくとも毎月、大規模インシデントの発生を報告している」と警告している。しかし、その報告をそのまま信用していいかを検討しなければならない。
大手バックアップアプリのベンダーの報告書では「2017年、組織はランサムウェア対策に真剣に取り組むようになり、ハッキングされたコンテンツを迅速に発見してその復旧を自動化する手段を導入する」と述べている。この予想は特に目新しいものではなく、IT関係者の多くは「いまさら分かり切っていること」と受けるだろう。
別の大手バックアップアプリケーションベンダーは、「ハッキングの脅威、ボットネットやマルウェア(特にランサムウェア)の横行により、IT管理者は2017年を通して夜も寝られない日が続く」とランサムウェアは2017年もデータセキュリティ対策で最も重要な問題と認識しているようだ。
別の調査では、回答を寄せた企業の26%が5~10種類のバックアップ製品を使っていると答えていた。バックアップの復旧作業が常に混乱する状況になっているのは、多種多様のバックアップ製品の運用が原因だ。しかし、サーバが障害から復旧するまでの時間を質問すると、回答企業の19%が1時間未満、55%は1~2時間と答えている。もしこれが事実なら、毎月のように大規模インシデントが起きても大した問題ではない。
オールフラッシュストレージの時代は本当に来るのか
データストレージ業界が2017年の予測で取り上げているのはデータセキュリティばかりではない。この3~4年の間、ストレージ業界で大きな話題となっているのがフラッシュストレージだ。ストレージの進化におけるフラッシュの役割を誇張するのは難しい。だがベンダーには誇張せずにはいられない事情がある。
例えばHDDに対して手厳しい予測をした大手調査会社は「データセンターの中にあって物理的に動くものは全て存在意義が低下し投資額におけるシェアを失う」と断言した。こうしたフラッシュ“信仰”はかつて予想できなかった高さにまで急騰している。Samsung Electronicsの32TBモデルやSeagateの60TBモデルといったSSDは2017年に出荷する予定だ。この状況において「オールフラッシュアレイはまだニッチ製品だ」とあえて発言できる洞察力のある評論家が見つかるかもしれないが、将来判明する真実がそうでないことを願う。
実際のところ2017年はどうなるのか
結論から言おう。バックアップリストアに関してその作業は困難で、ある程度の出費が必要なことを誰でも知っている。ベンダーの調査結果がどんなに楽観的であろうと対策はやらなければならず、必要とするときに必ずうまくいくように取り組まなければならない。
フラッシュストレージは確かに偉大だ。だがまだ高額だ。それにストレージ性能をわずかしか必要としない用途にはオーバースペックかもしれない。従ってハイブリッドシステムの需要が最も高い状況が続くだろう。とてつもなく高額なフラッシュドライブは最大級のビッグデータにのみふさわしい状況が続きそうだ。
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