ハイパーコンバージドインフラ(HCI)は、問題が起きた際にベンダー1社にだけ責任を問うことができるという便利さがある。だが新技術が登場してもベンダーが対応するまで利用できない不便さもある。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)は、データセンターの簡素化には有効だが、コストがかさむことが多い。その原因はHCIベンダーの囲い込みにある。
HCIを採用するとしても、全てをベンダー1社に任せることが必須条件ではない。だが最大限の簡素化と最高の価値を引き出すには、HCIベンダーを決め、同社が提供する製品を細かく調整して実装する場合が多い。HCIを評価する場合、その一環として、最終候補に残るHCIベンダーと製品が技術革新に容易に対応できるかどうかを検討すべきだ。
HCI主要ベンダーの多くは、ハイパーバイザーホストとストレージを自社のアプライアンスに置き換えることを求める。このアプローチに従っておけば、ベンダーが新たな技術革新を公開するたびにそれを利用できる。だがそのベンダーが新たな技術に対応するまで待つ必要も生まれる。つまり、ハイパーバイザーの新たなリリースがビジネスにとって重要であっても、自社のHCIベンダーがそれをサポートするまで何カ月も待つ可能性がある。
これと対照的なのが、ソフトウェアのみを使ってHCIを実現するベンダーだ。こうしたベンダーの製品は、既存のITインフラの上に階層化される。新しい技術が登場しても、HCIソフトウェアが使用するハイパーバイザーとOSで機能する技術であれば、理論的には使用可能だ。
最近のハイパースケールコンピューティングは、GPUとFPGA(Field-Programmable Gate Array)を使って、x86サーバの複雑な問題を解決するのが1つの傾向だ。だが、このアプローチはHCIには向かない。HCIは、コンピューティングタスクの実行にはx86プロセッサが最適だという前提に基づいている。
グラフィックスアクセラレーションにGPU関連の機能を用意するHCIベンダーも少数だが存在する。こうしたベンダーは、他のコンピューティングアーキテクチャも重要であることを認めているようだ。だが、大半のHCIベンダーはFPGAのアクセラレーターサポートは追加しないだろう(FPGAが最初に注目されたのは、アクセラレーター付きネットワークカードとしてだ。HCIノードのPCI Expressスロットが空いていれば、ハイパーバイザーでこうしたネットワークカードを利用できるはずだ)。
もう1つ利用が求められるストレージネットワーク機能が「NVMe over Fabrics」だ。NVMe over Fabricsは、より新しい共有ストレージをサポートする。これはHCIの考え方に反する技術だ。HCIでは、ファブリック(ネットワーク)全体の共有ストレージアレイという考え方ではなく、ノード内部のストレージを使用する。NVMe over Fabricsを、ノード間を高速に接続する方法としてHCIプラットフォーム内部で使用することは可能だ。だがHCIでは使用が控えられるストレージのイノベーションはこれだけではない。現在普及し始めているストレージクラスメモリ(SCM)もその1つだ。
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