センサーデータを基に建物内の電力や施設を統合管理する「スマートビルシステム」。電力管理による省エネルギー化への期待が先行するが、メリットはそれだけではない。
インテリジェントなLED照明システムなど、センサーベースのスマートビルシステムが人気を集めている。スマートビルシステムというと、エネルギーと維持コストの削減効果が注目される傾向がある。一方でセンサーベースのシステムの利点である効率化と自動化の機能については見過ごされがちだ。
スマートビルシステムは、今まで施設の管理部が対処していた日常業務の多くを管理できる。例えば倉庫や職場の気温を自動で調整したり、部屋の占有状況に応じて照明を付けたり消したりする、時間を要する作業のことだ。施設の管理部は作業の効率化により、自社のより戦略的な活動に注力し、幾つかの重要な領域において新しいレベルの価値をもたらすことができるようになる。
本稿では、スマートビルシステムを活用して、従業員が仕事をスマートにこなす例を幾つか紹介する。
スマートビルシステムの最も有用な利用方法の1つは、空間の占有状況を追跡して、日常業務を効率化することだ。企業は、人々が空間をどのように移動しているのか、または移動していないのかについての情報をスマートビルシステムに提供することで、さまざまなタスクを自動化できる。例えば誰かが特定のエリアに出入りした際に、照明や気温を調整するといった簡単なタスクから、何者かが立ち入り禁止区域に侵入した際、警告を発するセキュリティ監視など複雑なタスクまでが挙げられる。
空間の占有状況を追跡すると、企業は倉庫や工場の作業場全体にわたる人の出入りと、作業場の使用パターンに関する情報を得ることができる。スマートビルシステムでは、このような情報を細部にわたって収集可能だ。企業は作業場の使用パターンを把握することで、人員の配置や稼働計画を調整することが可能になる。
例えば製造工場内にある重要な機械にインテリジェントな照明システムを設置すれば、企業は機械の使用状況に関する情報を得ることができる。そのデータから、特定の勤務時間帯にはその機械を使用するために従業員が待ち行列を作っているのに、別の勤務時間帯ではほとんど使用されていないことが明らかになる可能性がある。
施設の管理部はこうしたデータを活用して、特定の職務における過剰な人員配置の可能性を把握したり、従業員が足止めを食らうような、最適とはいえないワークフローについての洞察を得たりすることが可能になる。管理部は、従業員が時間を無駄にすることがないように、情報に基づいて人材配置やワークフローを変更できるようになる。
フォルクスワーゲンがGoogleとタッグ 生成AI「Gemini」搭載で、何ができる?
Volkswagen of AmericaはGoogleと提携し、Googleの生成AI機能を専用アプリ「myVW」に導入...
JAROに寄せられた「広告への苦情」は50年分でどれくらい? 業種別、媒体別の傾向は?
設立50周年を迎えた日本広告審査機構(JARO)が、これまでに寄せられた苦情を取りまとめ...
データサイエンティストの認知率は米国6割、インド8割 さて、日本は?
データサイエンティスト協会は、日本と米国、インド、ドイツの4カ国で、データサイエンテ...