灼熱オフィス解消だけではない、スマートビルがもたらす「自動化」の実力見過ごされがちな「自動化」の効果(1/2 ページ)

センサーデータを基に建物内の電力や施設を統合管理する「スマートビルシステム」。電力管理による省エネルギー化への期待が先行するが、メリットはそれだけではない。

2017年05月02日 08時00分 公開
[Kaynam HedayatTechTarget]

関連キーワード

IoT(Internet of Things) | 技術解説


画像 スマートビルシステムが実現する「自動化」の中身とは

 インテリジェントなLED照明システムなど、センサーベースのスマートビルシステムが人気を集めている。スマートビルシステムというと、エネルギーと維持コストの削減効果が注目される傾向がある。一方でセンサーベースのシステムの利点である効率化と自動化の機能については見過ごされがちだ。

 スマートビルシステムは、今まで施設の管理部が対処していた日常業務の多くを管理できる。例えば倉庫や職場の気温を自動で調整したり、部屋の占有状況に応じて照明を付けたり消したりする、時間を要する作業のことだ。施設の管理部は作業の効率化により、自社のより戦略的な活動に注力し、幾つかの重要な領域において新しいレベルの価値をもたらすことができるようになる。

 本稿では、スマートビルシステムを活用して、従業員が仕事をスマートにこなす例を幾つか紹介する。

空間占有状況の追跡

 スマートビルシステムの最も有用な利用方法の1つは、空間の占有状況を追跡して、日常業務を効率化することだ。企業は、人々が空間をどのように移動しているのか、または移動していないのかについての情報をスマートビルシステムに提供することで、さまざまなタスクを自動化できる。例えば誰かが特定のエリアに出入りした際に、照明や気温を調整するといった簡単なタスクから、何者かが立ち入り禁止区域に侵入した際、警告を発するセキュリティ監視など複雑なタスクまでが挙げられる。

 空間の占有状況を追跡すると、企業は倉庫や工場の作業場全体にわたる人の出入りと、作業場の使用パターンに関する情報を得ることができる。スマートビルシステムでは、このような情報を細部にわたって収集可能だ。企業は作業場の使用パターンを把握することで、人員の配置や稼働計画を調整することが可能になる。

 例えば製造工場内にある重要な機械にインテリジェントな照明システムを設置すれば、企業は機械の使用状況に関する情報を得ることができる。そのデータから、特定の勤務時間帯にはその機械を使用するために従業員が待ち行列を作っているのに、別の勤務時間帯ではほとんど使用されていないことが明らかになる可能性がある。

 施設の管理部はこうしたデータを活用して、特定の職務における過剰な人員配置の可能性を把握したり、従業員が足止めを食らうような、最適とはいえないワークフローについての洞察を得たりすることが可能になる。管理部は、従業員が時間を無駄にすることがないように、情報に基づいて人材配置やワークフローを変更できるようになる。

設備のパフォーマンスと保守の追跡

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

事例 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

発展性・拡張性のある業務基盤を構築、「太陽化学」が実践するDXの取り組みとは

ビジネスを取り巻く環境が猛スピードで変化する中、DX推進は今や不可欠なものとなっている。本資料では、レガシーな業務環境を刷新し、多くの成果を生み出している「太陽化学」の取り組みを紹介する。

事例 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

年間1万時間相当の業務コスト削減、事例から学ぶ業務プロセス改善への取り組み

今後の企業成長を見据えた経営戦略の一環として、業務プロセスの改善・改革は必要な取り組みだ。「課題」「導入」「効果」の3つの観点から、大手金融各社が実際に成果を挙げている8つの成功事例を紹介する。

製品資料 株式会社ネオジャパン

改正道路交通法で義務化、アルコールチェックの記録・管理を効率化する方法とは

改正道路交通法により運転者へのアルコールチェックが義務化されたが、こうした管理を紙やExcelベースで行っている企業も少なくない。これでは安全運転管理者の負担が増大するばかりか、ミスも発生しかねない。この解決方法を紹介する。

製品資料 DoiT International Japan株式会社

クラウド運用の悩み、「ベンダーにお任せ」と「内製化/自走」はどちらが得か?

多くの企業でクラウド活用が加速する一方、ベンダー任せの構築や運用によって、コスト管理が不明瞭になるなど、さまざまな課題が顕在化している。クラウド運用はどのような体制が最適なのか、本資料ではそのヒントを解説する。

製品資料 NDIソリューションズ株式会社

「2025年の崖」は跳ばずに回避、基幹系システム“継続利用&モダナイズ”の秘訣

「2025年の崖」の中でDX推進の障壁として挙げられている基幹系のレガシーシステム。現場はモダナイズ不要と考えるが、経営層は業務効率への悪影響を懸念している。本資料では、現場と経営層との認識のギャップを解消する方法を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...