SANやNASの購入計画は落ち込み気味――複数調査の結果次はSSDを採用するという回答が半数

SSDはプライマリーストレージとして最も人気のある技術だ。一方で、容量を増強する場合、ほとんどの企業は今でもSANを中心にストレージを検討しているのが実情だ。

2017年05月08日 12時00分 公開
[James Alan MillerTechTarget]

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プライマリーストレージで次に採用したい技術《クリックで拡大》

 現在の企業はセカンダリーストレージ資産を活用する新しい革新的な方法を見いだしている可能性がある。具体的には、分析、データ保護、DevOpsの改善によって事業利益を向上させている。だが、大半の企業にとってプライマリーストレージこそが生命線になることに変わりはない。また、ユニファイドアレイやハイパーコンバージドインフラなど、新しいプライマリーストレージのテクノロジーは2017年までの数年間で市場シェアを拡大している。だが、大部分のデータセンターは実績のある頼れるSANアレイとNASアレイを原動力にしているのが実情だ。

 事実、これらは数字の上では全く接近していない。複数の調査によると、本稿執筆時点では、3分の2を上回る企業がプライマリーストレージとしてSANアレイを導入しており、それに続いて3分の1近くの企業がNASアレイを採用している(表1)。ハイパーコンバージドアレイ、コンバージドアレイ、ユニファイドアレイは、SANアレイとNASアレイに数字上では大差をつけられている。プライマリーストレージとして導入されている割合はいずれもわずか10%しかない。

 わずかではあるものの、これらの比率は変化している。今後12カ月間におけるプライマリーストレージの購入計画について質問したところ、SANの購入意向を示した回答者は過半数を割っていた。既にSANを導入している回答者の割合と比べると20%近い落ち込みだ。また、NASアレイを購入する予定があると答えた回答者の割合も19%と少なく、現在NASを導入している回答者の割合からすると、やはり20%ほどの落ち込みが見られる。ユニファイドアレイも8%と若干沈んでいる。それから、コンバージドインフラストレージの購入を計画していると答えた回答者の割合は横ばいだ。正反対に、ハイパーコンバージドアレイは全体的な傾向に逆行して数ポイント伸ばし、14%という結果になっている。

表1 現在どのプライマリーストレージを実装しているか(複数選択可)
68% SANアレイ
37% NASアレイ
11% ユニファイドアレイ
11% コンバージドアレイ
10% ハイパーコンバージドアレイ

 さらに事実を述べるなら、回答者の約3分の1は今後1年間にプライマリーデータストレージを追加購入する予定はないと答えている。

 IDCの「Worldwide Quarterly Enterprise Storage Systems Tracker」(世界エンタープライズストレージシステム四半期調査)の最新データによれば、2016年第3四半期にストレージ業界は3四半期連続で前年比減を記録し、その収益は3.2%減の88億ドルとなった。外部ストレージシステム(SANおよびNAS)が最も大きな割合を占めている状況に変わりはないが、外部ストレージシステムは市場全体よりも早いペースで売り上げの減少が続いており、前年比で6.1%減となっている。一方、オールフラッシュアレイとハイブリッドアレイは引き続き市場をけん引しており、それぞれ76.4%および3.5%の増加が見られる。また、従来のHDDアレイは売り上げの悪化が続き、前年比で3分の1低下している。

 企業がプライマリーストレージを追加することで達成しようとするITのメリットについては、圧倒的な差でストレージ容量の増加が最も重要という結果になった(表2)。これは当然であろう。興味深いのは、27%の企業が既に1PB以上のプライマリーストレージを実装済みで、33%の企業が100〜999TBのプライマリーストレージを導入済みであることだ(表3)。このことから、現在の企業がビジネスの支えとなるデータを非常に短期間で生み出し続けていることがよく分かる。

表2 新しいプライマリーストレージを購入する際に重視するメリットは何か(複数選択可)
77% ストレージ容量の増加
24% IOPSと全体的なパフォーマンスの向上
18% ストレージ占有面積の集約
18% 特定のアプリやデータのパフォーマンス向上
14% データ管理の改善
14% ストレージ稼働率の向上
9% 仮想化を進めるためのストレージの再設計
7% 特殊なSANスキルへの依存度の低下

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