問題が起きてからでは遅過ぎる
スマホの選択肢が多いとなぜ失敗する? モバイル活用“6つのダメ出し”
多くの企業では、モバイルデバイス活用を成功させるために適切なポリシーやツールが欠けている。あなたの会社のモバイル戦略に欠けているものがないかチェックしてみよう。
現在では、企業向けモバイル戦略(BYOD、時間や場所を問わず利用できる無線接続、スマートフォン、タブレット、クラウド)は確立されていると言ってよい。モバイル活用はどの業種の企業でもIT戦略の中心を占め、多様なデバイス、モバイルOS、アプリ、管理ツール、各種サービスでしっかりサポートされている。コストもこれまでになく安くなっている。では、いいことずくめなのだろうか。
実は問題が大ありだ。無線ネットワークやモバイルデバイスはこの4半世紀に大きく進歩したが、モバイル時代の成功の基本的要件と考えるべきものが欠けていると、根本的な戦略の誤りから問題が発生してしまう。本稿では、IT部門が直面している、モバイル活用の大きな問題の一部と、それらの問題を回避するための幾つかの指針を紹介する。
組織としての一貫性の欠如
IT管理者は定期的に、自社のミッションは何か、自分たちは何を目指しているのかを自問することが重要だ。設計の世界における古くからの格言「形態は機能に従う」のように、モバイル戦略は、全社的な目標や目的に対応する形で適用しなければならない。
無線ネットワークは手軽に利用できるようになっているが、原則的には、有線でネットワーク要件に対応できるなら、そうすべきだ。コストやセキュリティ、完全性、さらには生産性に影響する変数が多くなると、使いやすさの問題が発生する。管理者は、ある特定のアクティビティをモバイル化する必要性や、その結果として得られる機能が自社の目標達成にどのように役立つのかを慎重に検討する必要がある。
ポリシーの欠如
IT部門が持つべき基本的なポリシーや規定、契約としては、セキュリティポリシー、利用規定、BYODポリシー、エンドユーザーライセンス契約が挙げられる。また、ポリシーにおいては、企業として目指す目標を高く設定する一方で、ユーザーにかかる負担を絶対最小値に抑えなければならない。
さらに、どのようなポリシーも、地域のコンプライアンス規制に準拠したものでなければならない。適切なポリシーは、モバイル戦略に関する全社的な社員の理解を促進するとともに、オペレーションのミスや、さまざまなセキュリティリスク、予想外のコスト発生を回避するのに役立つだろう。
細かな作業がエンドユーザー任せ
ユーザーはITの専門家ではなく、通常は技術に詳しくない。彼らとしては、仕事を処理する助けになって、シンプルで信頼できるツールが欲しいだけだ。このため、モバイル機能は透過的で使いやすくなければならず、適切なサポート、教育、奨励、自動化、追跡(モニタリングや管理上の可視化を通じた)によってユーザーを支援することも必要だ。企業ネットワークへの通常の接続だけでなく、ツールの更新やデータのバックアップといった一般的な作業も、ユーザーが意識しないで済むようにしなければならない。
デバイスの選択肢が多過ぎる
IT部門が、サポートの対象となる使用可能なユーザーデバイスの選択肢を、指定したデバイスとモバイルOSリリースの組み合わせに限定することが極めて重要だ。この組み合わせについては、より新しく、安全で、管理しやすく、機能豊富な(新しいWi-Fiや携帯技術などの)、そしてサポートもしやすい製品が市場に登場するとともに、古い組み合わせを外していくようにする。どのモバイルデバイスもいずれは寿命が来るので、ユーザーのデバイスの選択肢を制限すれば、全社員のリスクやコストを大幅に低減できる。
トラブル対策が不十分
モバイル戦略を実行するに当たって、管理者は、起こり得る(そして実際に起こる)問題を全て考慮し、望ましくない事態に対処する計画を最初から持っていなければならない。IT部門は、デバイスの紛失や盗難、サービス障害、アクセス資格情報の流出など、ありがちな多くの事態への対策を用意しておく必要がある。また、それらの対策を文書化し、適切に周知し、実際に問題が発生する前に慎重にテストしておく必要もある。
適切なツールを使っていない
エンタープライズモビリティ管理(EMM)は現在、IT部門がモバイルデバイス、情報、モバイル運用の全体を管理するための好ましい手段として定着している。企業データのコンテナ化や適切なデバイス設定の保証といった機能は、IT部門がEMMツールを購入する十分な理由となっている。ただし、EMM市場は競争が激しいため、製品価格はかなり安い。
またIT部門は、改良されたセキュリティプロトコルを簡単かつ広範に実装することもできる。クラウドベースのツールも、管理負担を軽減してくれる他、オンデマンドのスケーラビリティを備えている。
IT自体が急ピッチで進化を続けていることを理解することも重要だ。現時点で有効なものでも、比較的近い将来に古くなり始めてしまうかもしれない。企業は年に2回以上、オペレーションレビューをしなければならない。また、IT部門がベンダー(現在の取引先と取引先候補の両方)と定期的に連絡を取り、業界の最新事情を把握しておくことも重要だ。
企業のモバイル活用は、野放しの自由放任であってはならず、問題が起きてから対応するのでは遅過ぎる。モバイル活用は今後も、IT部門と企業全体における管理上の大きな課題であり続ける。だが、モバイル戦略を適切に実行すれば、職場での、そしてモバイル環境での生産性向上は、当初の問題を補って余りあるだろう。
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