スマートフォン普及で現実味
ワイヤレスオンリー企業の挑戦 社内丸ごとワイヤレス化は可能?
企業の間でワイヤレスファースト戦略を採用する動きが広がっており、さらにワイヤレスオンリーへと進みそうだ。だが、ITスタッフは、キャパシティー、管理、コストの懸念に注意を払わなければならない。
ワイヤレスファーストは、音声、メッセージング、電子メール、ローカルおよびクラウドアプリ、電話、動画など、あらゆる方法による通信のメイン回線として、無線通信ネットワークを使用するITおよび通信戦略を指す。
ワイヤレスファーストに関連する最も一般的なエンドユーザーデバイスは、スマートフォンだ。スマートフォンは通常、企業ではBYOD(私物デバイスの業務利用)プログラムの一環として、エンドユーザーが持ち込んで使っている。スマートフォンはワイヤレスファーストに沿っていると考えられているが、実は“ワイヤレスオンリー”のデバイスだ。ネットワークにケーブルで簡単に接続することはできない(もっとも、そうしたケーブルは、現在のライフスタイルやワークスタイルの重要な要素であるモビリティーを損なうだろう)。スマートフォンはWi-Fiか携帯キャリアネットワークで通信を行う。
ワイヤレスファーストは、あらゆる規模、ミッション、種類の組織で人気を博している。だが、その一方で、コストやキャパシティーおよび需要拡大の影響に関する多くの懸念を引き起こしている。IT管理者は、こうした懸念に注意を払う必要がある。ワイヤレスファーストは、必然的にワイヤレスオンリーへと進んでいくだけになおさらだ。
ワイヤレスファーストはどのようなものか
ビル内の典型的なワイヤレスファーストインフラは、前述したエンドユーザーデバイスの他、ごくわずかなハードウェアコンポーネントで構成されている。このインフラには、特定用途向けのIoTデバイス(主にセキュリティ、電力管理、位置情報管理に関連する)とBluetooth Low Energy(BLE)ベースの追跡サービスが含まれることが多くなっている。
こうしたワイヤレスファーストインフラの要件には、アクセスポイント(AP)が含まれる。APは、ワイヤレスユーザーと他のネットワークインフラを橋渡しする。そのネットワークインフラに含まれるイーサネットスイッチがAPと相互接続し、APに接続するユーザーデバイスが通信を行うことを可能にする。イーサネットスイッチはプリンタ、サーバ、他の固定機器への基本的な有線接続を提供する。このネットワークインフラには、ルーター、ファイアウォール、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバも含まれる。このサーバはWANとの橋渡しを行う。
ローカルなITポリシーやオペレーション目標に合わせて、インフラが追加されることもある。だが、一般的に、ビル内の至る所にイーサネット機器をプロビジョニングする必要はなく、機器を減らすことで、このインフラの設置と保守の費用を抑えることができる。同様に、PBXやデスクトップフォン、関連する全ての有線設備の利用を打ち切ることもできる。これらにより、今後の見通しが明るくなる。設備投資とオペレーションコストが低く抑えられ、ワイヤレス需要が時間とともに必然的に拡大すれば、極めて柔軟に対応でき、スケーラビリティも簡単に得られる。
ワイヤレスファーストの要件
では、ワイヤレスファーストで好ましくないことは何か。もし以下の点が満たされていれば、好ましくないことは何もない。
キャパシティー
無線接続は、もはやカバー範囲とスループットが全てではない。無線ネットワークはいつどこでも、ユーザーとそのトラフィックフローのニーズを満たすのに十分な総キャパシティーをプロビジョニングしなければならない。分析や管理コンソールでのモニタリング、アラートの進化に伴い、この要件は満たしやすくなっている。必要に応じて設定を自動的に再構成するために、機械学習やAI(人工知能)を適用する試みも盛んに行われるようになっている。もちろん、カバー範囲やキャパシティーの不足を解消し、新しい無線技術へのアップグレード(これ自体もキャパシティー向上につながる)をサポートするには、新しいAPが必要になる。
完全性
的確な計画とオペレーションにより、少なくとも、AP(と、必要な場合は無線LANコントローラー)のオーバープロビジョニングを最小限に抑えながら、機器で障害が発生するあらゆる可能性に備えることができる。エンタープライズクラスのWi-Fiシステムは、APで障害が発生すると、自動的に再構成を行ってフェイルオーバーで対処する。ただし、IT計画およびオペレーションでは、インターネットサービスプロバイダーのバックホールと相互接続の冗長性も調査しておく必要がある。これは有線サービスにも当てはまる。
管理
前述したように、管理コンソールの多くの機能を把握し、使用すれば、初期構成を大幅に拡張できる。コンソールは、トラフィック需要への対応からセキュリティ問題への対処まで、ネットワークで実際に何が起こっているかを理解する鍵になる。急速に台頭している一連の分析ツールや関連ツール(AIや機械学習を取り入れている)は、オペレーションのより迅速かつ包括的な理解を可能にしている。場合によっては、これらのツールは、ユーザー(や、時にはオペレーションスタッフ)が問題に気付く前に、未然に自動的に問題に対応できることもある。
ワイヤレスオンリーへの道
携帯キャリアは広域ネットワークにおいて、これら全てのファクターに責任を持っている。そのため、自社のスループット、キャパシティー、可用性、地理的カバー範囲の要件について、キャリアと会って話し合うのは良いアイデアだ。広域ネットワークでのスループットは、現在のWi-Fiネットワークより低いだろう。だが、キャリアは4Gサービスの改善に精力的に取り組むとともに、数年以内にギガビットクラスの5Gサービスを開始する準備も進めている。
ワイヤレスファーストは、ワイヤレスオンリーの方向に向かっている。実際、われわれは、ワイヤレスオンリーに進む以外に選択肢がない。既に広域キャリアサービスはワイヤレスオンリーであり、現在販売されているほとんどの新しい加入者デバイスは、ネットワークポートが存在しない。
時間とともに、固定線、携帯、Wi-Fi間のハンドオフは、極めて簡単かつ透過的になり、固定電話サービスは完全に時代遅れになるだろう。つまり、われわれは“どこでもワイヤレスオンリー”に着々と近づいている。便利さ、接続性、コストプロファイルから、この進化は後戻りしそうもない。
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