5GやIoTはフェイルファーストで爆発的に普及?FTTNがブロードバンドを変える

2019年、通信事業者は難しい選択を迫られる。ソフトウェア開発で一般的なフェイルファースト(早めに失敗)のモデルを検討しつつOTT(Over The Top)プロバイダーと競争し、5GとIoT関連の収益を伸ばさなければならない。

2019年02月21日 05時00分 公開
[Tom NolleTechTarget]
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 毎年ビジネスのトレンドは変化するが、その中でも通信事業ほど2019年にさまざまな変化に直面する業界はない。2019年に起こる変化が、通信業界全体のトレンドを支配するだろう。

 ユーザー側の要件はこれまでにない速さで変化している一方、通信事業者(キャリア)が自分たちを変革する要素として位置付けているテクノロジーにはなかなか進展がみられない。例えばネットワーク機能の仮想化(NFV)、5G(第5世代移動体通信システム)、IoT(モノのインターネット)などがそのテクノロジーの例だ。2019年、キャリアはこれら自らが提供する技術とユーザー側が要求する差分を縮めなければならない。

 キャリアは10年以上前から、動画や音声のコンテンツサービスをインターネット経由で提供するOTTサービスによって、収益機会が奪われる可能性があることを認識していた。不運にもキャリアは、ネットワークトラフィックが増加しているにもかかわらず、定額制料金ではなく従量制料金で請求することができない。市場競争で生き残るためだ。ユーザーは新しいテクノロジーによって実現が見込まれるさまざまな要望を抱いているが、キャリアはその一部を実現することにさえ苦労している。

 2019年の通信業界における注目すべき動きとして、市場を大きく変える、テクノロジーの転換が起きる可能性があるという点を挙げておきたい。NFVの普及、5Gによるモバイルサービスの導入、IoT接続の活用という3つの要素が実現することを期待してきた最高技術責任者(CTO)は少なくないだろう。だが、その全てが想定通りに進展するのは難しい。キャリアはユーザーが望む変化に焦点を当てて計画を練り、2019年にユーザーへの影響力を最大化できるテクノロジーを選択しなければならない。

5G×固定ブロードバンドに期待

 2019年、キャリアの矢筒に収められた矢のうち、テクノロジー面で最大の可能性を秘めるのはミリ波を使った5Gと、住宅などユーザーの利用環境の近隣まで光回線で接続するFTTN(Fiber To The Node)を組み合わせたハイブリッドモデルだ。5Gにはこれまで実現できなかったアプリケーションを実現できる可能性があるが、だからといってユーザーがより高額な利用料金をモバイルサービスに支払うわけではない。一方で5GとFTTNのハイブリッドモデルに目を向ければ、固定ブロンドバンドサービスに革命を起こせることは確実だ。キャリアは5GとFTTNを組み合わせることで、下りのデータ伝送速度が75Mbps以上のブロードバンドサービスを多くのユーザーに提供できるようになると見込める。5GとFTTNのハイブリッドモデルでは、サービス提供にかかるコストを、ユーザーの利用環境まで光回線で直接接続するFTTH(Fiber To The Home)の4分の1ほどまで下げられる可能性がある。

 5GとFTTNのハイブリッドモデルは、とくに住宅や企業が密集している地域において、固定ブロードバンド単体で利益を生み出せる可能性がある。これまで住宅や小規模企業向けにDSL(アナログ回線を使ったインターネット接続)を提供してきたキャリアのサービスが、5GとFTTNを使った収益性と競争力に優れた手段に置き換わっていくと期待できる。ユーザーがDSLの速度を上回るブロードバンドに支払う意志があることは分かっている。モバイルサービスの競争が頭打ちになっている状況においても、キャリアは5GとFTTNを組み合わせることで収益を増やすサービスを提供できる。

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