いつの日か、量子コンピューティングは宇宙の謎を解き明かすかもしれない。量子コンピューティングを早期導入したBarclays Bankの前に今立ちはだかる最大の壁は、量子コンピュータで実行できる程度に問題をシンプルにすることだ。
量子コンピューティングは1982年、物理学者の故リチャード・ファインマン氏によって初めて提唱された。それ以降、理論研究者は、最新コンピュータの核をなす論理ビットを量子コンピューティングに置き換えるアイデアに手直しを加え続けている。理論上、量子コンピュータは、はるかに小さな要素での処理を可能にし、従来のコンピュータ回路より格段に効率が高いと思われる新しい種類の処理を実現する。ムーアの法則が本当に壁に突き当たるのであれば、この目標はなおさら早急に達成されなければならない。
とはいえ、量子力学の法則を活用して汎用の商用量子コンピュータを開発するのは、想像よりも困難であることが分かっている。ファインマン氏が優れたアイデアを提案してから37年になるが、ITビジネス界でいわれているように、いまだ量子コンピューティングは解決策を求めるテクノロジーのまま変わっていない。
だが、明るい展望が見えないとしても、この分野の熱は大きく高まっている。
2019年のCESにおいて、IBMは「IBM Q System One」を発表した。これは2.7メートルのガラス製ケースで密閉された光沢のある立方体で、同社CEOのジニー・ロメッティ氏は世界初の商用量子コンピュータと称している。IBM Q System Oneは、工業デザイナーが巧妙に作り上げた印象深いコンピュータだ。だが、従来型コンピュータに比べて、実行できるアプリケーションの種類とパフォーマンスに制限がある。これは同社が進んで受け入れている現実だ。
IBM ResearchでIBM Q戦略およびエコシステム担当のバイスプレジデントを務めるボブ・ストール氏は次のように語る。「量子コンピューティングはまだ初期段階だ。例えるなら、現在使われている従来型コンピュータの1950年代の姿だろう。だが当時と違うのは、企業も個人もIBM Qのプロトタイプにアクセスでき、基礎知識の習得という点で量子への準備を進めている点だ。さらに、量子コンピュータが従来型コンピュータの機能に勝ることを示す実用的なアプリケーションが開発されている」
量子を積極的に取り入れようとしている企業の1つがBarclays Bankだ。
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