クラウドサービスの利用が拡大している他、エッジでは大量のデータが発生するようになった。こうした状況に合わせ、ネットワークに求められる要件も変化している。
ネットワークを急速に変化させている2つの要素がトラフィックとモバイルデバイスだ。クラウドに接続するためのさまざまなネットワークのアーキテクチャが広がり、これらの要素の拡大を後押ししている。
調査会社のIHS Markitが、企業のエッジ(ネットワークの末端となるデバイス内部やその近く)におけるネットワーク接続について、北米で働くネットワークエンジニア292人を対象に調査を実施した。WAN構成の変化やトラフィックの増加、データ転送速度の高速化、クラウド接続用のネットワークアーキテクチャの拡大、などがこの調査によって明らかになった。
同調査は企業が採用するネットワークのベストプラクティスや、企業の最新のニーズに応えるネットワーク技術などについて紹介している。例えば、複数のクラウドサービスを利用するマルチクラウド環境でSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)を利用した場合、ネットワーク運用の効率性と可視性が向上する、といった内容だ。
この調査に回答した企業の約51%が、2019年末までにハイブリッドクラウド環境を実現すると回答している。これに対して、アプリケーション配信のためにマルチクラウド環境を導入すると回答したのは37%にとどまった。
本稿ではハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いについて、次のように定義する。ハイブリッドクラウドでは、オンプレミス型プライベートクラウドを含む複数のクラウドを一元的に管理する。対してマルチクラウドは、複数のクラウドを別々のツールで管理する。
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスのデータセンターでクラウドのオンデマンド型のネットワークサービスを利用することが可能だ。そのため同調査は、オンプレミスのデータセンターはIaaS(Infrastructure as a service)を中心とするハイブリッドクラウドの構成とした場合に恩恵があると指摘している。オンプレミスでクラウドサービスを利用すれば、アジリティー(俊敏性)や安定性、管理の簡略化といった利点が得られる。
クラウドのリソースを利用してトラフィック増に対処できるのが、ハイブリッドクラウドの強みだ。一方、ハイブリッドクラウドによって全体的なネットワークのパフォーマンスが低下する可能性がある。トラフィック増大の原因となっているのは、クラウドの利用拡大やデータバックアップなどだ。トラフィックの増大に対処するために、企業はSD-WANの導入やWANの通信容量の拡大に着手していると、IHS Markitは指摘している
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