トラフィック増加への対処法
「SD-WAN」採用企業が2020年までに6割を超える? その理由は
クラウドサービスの利用が拡大している他、エッジでは大量のデータが発生するようになった。こうした状況に合わせ、ネットワークに求められる要件も変化している。
ネットワークを急速に変化させている2つの要素がトラフィックとモバイルデバイスだ。クラウドに接続するためのさまざまなネットワークのアーキテクチャが広がり、これらの要素の拡大を後押ししている。
調査会社のIHS Markitが、企業のエッジ(ネットワークの末端となるデバイス内部やその近く)におけるネットワーク接続について、北米で働くネットワークエンジニア292人を対象に調査を実施した。WAN構成の変化やトラフィックの増加、データ転送速度の高速化、クラウド接続用のネットワークアーキテクチャの拡大、などがこの調査によって明らかになった。
同調査は企業が採用するネットワークのベストプラクティスや、企業の最新のニーズに応えるネットワーク技術などについて紹介している。例えば、複数のクラウドサービスを利用するマルチクラウド環境でSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)を利用した場合、ネットワーク運用の効率性と可視性が向上する、といった内容だ。
併せて読みたいお薦め記事
ネットワーク仮想化はなぜ必要なのか
SDN運用の基礎知識
ハイブリッドクラウドのネットワークアーキテクチャの利点
この調査に回答した企業の約51%が、2019年末までにハイブリッドクラウド環境を実現すると回答している。これに対して、アプリケーション配信のためにマルチクラウド環境を導入すると回答したのは37%にとどまった。
本稿ではハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いについて、次のように定義する。ハイブリッドクラウドでは、オンプレミス型プライベートクラウドを含む複数のクラウドを一元的に管理する。対してマルチクラウドは、複数のクラウドを別々のツールで管理する。
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスのデータセンターでクラウドのオンデマンド型のネットワークサービスを利用することが可能だ。そのため同調査は、オンプレミスのデータセンターはIaaS(Infrastructure as a service)を中心とするハイブリッドクラウドの構成とした場合に恩恵があると指摘している。オンプレミスでクラウドサービスを利用すれば、アジリティー(俊敏性)や安定性、管理の簡略化といった利点が得られる。
クラウドのリソースを利用してトラフィック増に対処できるのが、ハイブリッドクラウドの強みだ。一方、ハイブリッドクラウドによって全体的なネットワークのパフォーマンスが低下する可能性がある。トラフィック増大の原因となっているのは、クラウドの利用拡大やデータバックアップなどだ。トラフィックの増大に対処するために、企業はSD-WANの導入やWANの通信容量の拡大に着手していると、IHS Markitは指摘している
「2020年末までにSD-WAN導入」が6割以上
エッジの接続性に関する要件が変化するのに合わせてWANも変化している。IHS Markitによれば、企業はトラフィックの増大に対処するために、既存のWANの通信容量を毎年30%増やしているという。
IHS Markitによれば、SD-WANを導入する企業は従来のWANの1.5倍以上の通信容量を使用している。今回の調査に回答した企業のうち、66%が2020年末までにSD-WANを導入すると回答した。
一般的に、SD-WANの利点はアプリケーションのパフォーマンス向上やネットワーク管理の簡略化、ネットワーク全体のコスト削減だと考えられている。これらのことが、企業がSD-WANの導入を推進する大きな理由となっている。
マルチクラウド環境の導入を検討している企業にもSD-WANはメリットをもたらす。SD-WANではエンドユーザーの行動分析やセキュリティの強化、異なるWANの一元管理が可能になるためだ。SD-WANはマルチクラウド環境にあるデータとアプリケーションに迅速にアクセスできるようにしする。SD-WANは今後、クラウドネットワークのアーキテクチャの中心的な役割を果たす可能性があるとIHS Markitは予測する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社kickflow] 2社の事例に学ぶワークフロー改革:属人化解消や年数万件の申請書類削減のコツ -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
2
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
6
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
7
IT予算が10%増えたら何に使う? 著名企業のCIOが明かす「最優先の投資先」
-
8
AI活用か新たな脅威か OpenAI自律エージェントがRubyGemsを急襲
-
9
音声もFAXもメールで確認――ユニファイドメッセージの業務効果
-
10
機械学習について、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー