「SNMP」と「ストリーミングテレメトリー」の違い【前編】
いまさら聞けない「SNMP」 ネットワーク担当者を悩ます3つの欠点とは
ネットワーク監視ツールとして一般的に利用されてきた「SNMP」には、ネットワーク管理者が頭を悩ませる課題がある。ネットワーク監視の手法を検討する上で、その点を理解しておこう。
ネットワークを適切に運用するには、ネットワークで何が起こっているのかを常に把握しておく必要がある。ネットワーク機器から収集する稼働データである「テレメトリー」が、セキュリティ確保やトラブルシューティング、パフォーマンス監視に不可欠なものになりつつある。
「SNMP」(Simple Network Management Protocol)は、監視サーバからネットワーク機器の情報を取得する際に利用されるプロトコルだ。ネットワーク監視に広く使われてきたSNMPは、大規模なネットワークを監視するには不十分な点がある。そのことがネットワーク運用者の悩みの種となってきた。SNMPがすぐに市場から消え去ることはないと考えられるが、ネットワーク監視の手法としてはテレメトリーを使った手法の方が優れているという見方がある。
テレメトリーの用途は、一般的にアラートの発行やネットワーク状況の分析だ。これまではSNMPによるポーリング(ネットワーク機器に対する周期的な問い合わせ)や、メッセージ転送プロトコル「syslog」を使ったメッセージのやりとり、ネットワークトラフィックを監視する技術「NetFlow」などがネットワークを監視する技術として利用されてきた。例えばSNMPポーリングでは、ネットワークスイッチに障害が発生したり、ファイアウォールのCPU使用率が90%を超えたりすると、ネットワークオペレーションセンターにアラートを送る。
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SNMPはネットワーク機器を監視するために開発された初期のプロトコルで、30年以上前から使われている。広く普及しており、ネットワーク情報の収集と管理にSNMPを使っている監視ツールは少なくない。だがSNMPには欠点がある。
SNMPの欠点1:“受け身”によるオーバーフロー
1つ目の欠点は、基本的にSNMPによる制御に利用するクライアントソフトウェアからの要求を受けて、受動的に情報を送信する「プル型」の形態を取ることだ。ネットワーク機器と通信する役割を担う「SNMPコレクター」(ネットワーク監視ステーション、ポーリングステーションとも呼ぶ)がネットワーク機器との通信を開始し、オブジェクト識別子(OID:識別のために割り当てられる一意の番号列)を介して管理対象を特定して情報を取得する。あらかじめ定められたネットワーク機器に対する問い合わせのスケジュールに従ってSNMPコレクターがリクエストを送ると、ネットワーク機器がそのリクエストを処理して応答を返す。
大規模なネットワークで、スイッチやルーター、ファイアウォールが極度のビジー状態(リクエストに対して応答できない状態)にある場合、SNMPポーリングを頻繁に実施すると、ネットワーク機器のリソースを大量に消費することになる。ポーリングの頻度が過剰になれば、ネットワーク機器が耐えきれないほど負荷が高まる可能性がある。
さらに深刻なのは、ポーリング回数が多過ぎると、SNMPのリクエストがタイムアウトし、SNMPコレクターがネットワーク機器を調査する能力が下がることだ。データを取得する間隔が10分など比較的長めに設定されている場合には、あまり影響は生じない。しかし、ネットワークのパフォーマンスは飛躍的に向上しており、数分どころか数十秒でも可視性に穴が生じることを許容できなくなりつつある。
SNMPの欠点2:データの不正確さ
2つ目の欠点は、送受信するデータの不正確さだ。SNMPでタイムスタンプ(データが作成された日時を示す情報)を取得するタイミングは、ネットワーク機器の照会があったときであり、ネットワーク機器でイベントが発生したときではない。多数のネットワーク機器で構成される負荷の高い大規模な環境では、収集するタイムスタンプの精度が低くなる。
SNMPコレクターへ情報をプッシュ(能動的に情報を送信)する機能もある。ネットワーク機器でイベントが発生したときに、機器側からネットワーク監視システム(NMS)側に通知を送信する「SNMPトラップ」という機能だ。これにより、SNMPを使って一種のイベント駆動形のテレメトリーを提供することができる。
ただし、このSNMPトラップは信頼性に難がある。その背景として、SNMPトラップの要素技術であるUDP(User Datagram Protocol)が、情報伝達の方式として信頼性の低いことがある。各SNMPトラップは1つのUDPパケットとしてNMSに送信される。UDPはネットワークに重大な問題が発生したことをNMSに通知する役割を担う。がただしUDPによる通信では、通知先のSNMPコレクターは受信確認を実施しない。
SNMPの欠点3:リソース利用の非効率さ
3つ目の欠点は、ネットワークリソースの利用効率が悪いことだ。SNMPで監視できる項目の粒度は細かいが、データ収集プロセスの粒度は粗い。例えば、毎分1回のポーリング間隔でネットワークインタフェースの状況を調べるとすると、各インタフェースで問題が発生しなくても、毎分1回、異常なしとNMSに応答するため、ネットワークのリソースが無駄になる。
後編は、SNMPに替わる方法として利用が広がるテレメトリーを利用したネットワーク監視を紹介する。
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