IT担当者はスマートフォンのセンサーデータの助けを借りてユーザーの行動を理解し、業務やワークフローを改善することができる。だが、センサーデータの収集には幾つか大きなリスクも伴う。
現代のスマートフォンには、ユーザーの行動を測るさまざまなセンサーが搭載されている。企業は長い間、こうしたセンサーが生み出すデータを活用してこなかった。
例外が1つある。それはGPS(全地球測位システム)のデータだ。GPSデータによりユーザーを追跡し、位置情報を認証要素として有効にして、紛失したデバイスの場所を特定できる。GPSデータはスマートフォンに搭載されているセンサーデータ全体から見れば、ごく一部にすぎない。しかし、こうしたデータを集約すれば、セキュリティの強化など多くのメリットが得られる可能性がある。特にIT部門が機械学習などAI(人工知能)技術とセンサーデータを組み合わせれば、その可能性は高まる。
ただし、こうしたデータ収集はエンドユーザーのプライバシーと引き換えになる恐れがある。企業はスマートフォンのセンサーデータの収集に対してユーザーが抱くプライバシーへの懸念を理解し、このような収集のプロセスに取り掛かる前に予防策を講じなければならない。
スマートフォンのセンサーデータは、従業員の働き方のパターンや行動を知る機会を企業にもたらす。IT担当者はセンサーデータをユーザーの承認プロセスに応用し、デバイスにログインするユーザーをより正確に特定できるようになる。
センサーデータを使って感情分析し、従業員が自分の仕事に満足しているかどうか判断することも可能だ。IT担当者はユーザーを個別に追跡することなく、AI分析用にデータを集約できる。
経営陣がこうしたセンサーデータを使えば、自社のモバイルユーザーの集団士気を理解し、どのようなイベントがユーザーにストレスを感じさせるかを把握することができる。例えば、経営陣が新しい技術を導入したとする。その導入後にセンサーデータを使って従業員の関わり方や姿勢を見守り、既存のワークフローを修正するなど、組織に変化を加えることもできる。
センサーデータを使って日常業務の効率を上げることも可能だ。従業員が日常社内をどのように移動して相互にやりとりしているかを分析するとしよう。こうした分析に応じて、オフィスのレイアウトやワークフローを調整して、効率や生産性を最適化できる。こうしたアプローチは、障害のある従業員のアクセシビリティの問題に対処する際にも役に立つ。
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